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2020年12月25日

政府、21年度予算案を閣議決定 自動車産業の構造変化後押し

政府は21日、2021年度の予算案を閣議決定した。一般会計の総額は20年度当初予算に比べて3・8%増の106兆6097億円。当初予算としては9年連続で過去最高を更新したほか、3年連続で100兆円の大台を超えた。

政府は20年度の第3次補正予算案と組み合わせ、事実上の「15カ月予算」として編成していく考え。新型コロナウイルス感染症による経済対策を途切れさせないとともに、次代の成長戦略となる「グリーン化」や「デジタル化」を加速させる狙い。

こうした方向性は自動車関連予算にも反映されており、自動車産業の構造変化を後押ししそうだ。

国土交通省の21年度当初予算案は前年度比0・6%減の5兆8981億円だった。このうち、自動車局関連予算は一般会計で同3・0%減の18億8600万円だったものの、自動車安全特別会計が同9・8%増の598億3200万円に伸長。

全体でも同9・3%増の617億1800万円を確保した。概算要求の内容がほぼ認められた形となっており、政府の方針となっているデジタル化やグリーン化に資するもので新規事業や増額が認められるケースが目立っている。

このうち、新規事業となる「自動車検査登録手続きの申請者利便の向上」では新たに7億3500万円が計上された。「自動車検査証(車検証)更新手続きのドライブスルー化」については概算要求通りとなったが、自動車保有関係手続きのデジタル化については中身が大きく変化している。

新政権でのデジタル化加速の流れをタイムリーに取り入れ、「マイナンバーカード」との一層の連携強化を盛り込んだ。

「地方公共団体情報システム機構(J-LIS)」と連動させ、「自動車保有関係手続きのワンストップサービス」利用時の氏名や住所の入力を不要としてユーザーの利便性を高める。同時に、運輸支局窓口も含めたキャッシュレス化への対応拡大にも取り組む。

経済産業省の21年度予算案は、20年度当初予算比0・7%減の1兆2533億円となった。環境省は「東日本大震災復興特別会計」の減少により、同31・9%減の6731億円だった。

しかし、両省の20年度3次補正予算案ではそれぞれ4兆6688億円、1398億円を計上している。これらには50年の温室効果ガス実質ゼロ化に向けたイノベーション創出を支援する2兆円基金が経産省に盛り込まれた。

さらに、両省が連携して取り組む電気自動車(EV)をはじめとする次世代電動車の新たな購入支援事業も計上されている。15カ月予算としてとらえれば、経産省は6兆円に迫る予算額となっており、梶山弘志経産相も「日本経済の構造転換を着実に進める」との意欲を見せている。

国交省も3次補正で3兆2912億円を計上している。政府は3次補正予算案と21年度予算案を来年1月に召集する通常国会に提出する見通し。早期の予算成立に力を入れ、新型コロナ後を見据えた日本社会の新たな成長基盤づくりに全力を挙げていく考えだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞12月22日掲載