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2020年12月24日

部工会が経営動向調査 感染拡大、部品メーカーに打撃

新型コロナウイルスの感染拡大が自動車部品メーカーの経営に大きな打撃を与えている実態が、日本自動車部品工業会(部工会、尾堂真一会長)の調査で浮き彫りになった。

部工会が18日に公表した「2020年度第2四半期の自動車部品工業の経営動向」によると、会員企業426社のうち66社(自動車部品の売上高比率が50%以上の上場企業で前年との比較が可能な会社)合計の売上高は、前年同期比25・5%減、営業損益と当期純損益は赤字を余儀なくされる結果となった。

同日、記者会見した尾堂会長は、ポストコロナ時代を視野に入れ、「自動車産業、自動車部品産業が日本経済復興のけん引役を果たす」ことが重要と指摘。部工会として会員企業の取り組みを支援する施策を展開していく考えを示した。

部工会が取りまとめた20年度第2四半期(4~9月)業績は、売上高が前年同期比25・5%減の9兆5167億円、営業損益は2075億円の赤字、当期純損益は2596億円の赤字だった。営業損益と当期純損益の赤字はリーマンショック以来。

一方、21年度通期業績見通しは、減収減益ながらも第2四半期の赤字からは脱却する見込み。通期見通しを出した58社合計の売上高は、前年比13・8%減の20兆4443億円、営業利益は同37・2%減の4千億円、当期純利益は同46・7%減の1335億円を予想した。

現在、日本を含め世界各国で新型コロナウイルスの感染が再拡大しており、回復の兆しを見せていた自動車生産に不透明感が出始めている。

一方、自動車産業は「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)、MaaS(サービスとしてのモビリティ)、カーボンニュートラルへの対応も求められている」(尾堂会長)状況だ。

尾堂会長はこうした環境変化に対し、デジタルトランスフォーメーション(DX)を進めていく必要性を改めて強調。「DXによる新しいものづくりの価値を創造する施策を来年から本格化する」方針を明らかにした。

経営者向けセミナーの実施はこの一環。政府や有識者、シンクタンク関係者を招いたセミナーの機会を提供する計画だ。また、製造現場での変革に焦点を当てた研究会も発足させる予定。「会員各社がものづくりDXを推進する上での課題や困りごとに関する解決事例を探索していく」という。

DXを巡っては、資金的な問題や人材不足、経営者意識の課題などから、導入に踏み切れない企業が中小零細を中心に少なくない。一方で、数々の支援策が用意されているのも実情だ。

尾堂会長はコロナ環境下のDXについて、「環境整備は確実に進んでいる。製造現場はこれからだが、各社が将来の製造業をより強い形にするべく導入に向けて取り組んでいる」と指摘。

その上で、部工会として「経営者にDX推進の重要性を認識してもらい、問題点も含めて情報を共有し、優れたところは互いに学び合って進めていきたい」との考えを示した。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞12月21日掲載