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自動車産業インフォメーション

2020年12月24日

大型車メーカー コロナ禍経験生かし、BCP対策強化

大型車メーカーがBCP(事業継続計画)対策の強化に乗り出している。日野自動車は、部品供給網の状況を管理するデータベースに、2次サプライヤー(ティア2)以降の仕入れ先の生産品目を新たに追加して、有事の際の初動対応をさらに早める。

いすゞ自動車では、重要保安部品などを手がける取引先を対象に、あらかじめ代替生産場所をシミュレーションして早期の立て直しを図る体制を整える。新型コロナウイルスの感染拡大により部品調達が停滞した経験を踏まえ、平時の予防と早期の復旧策を一層強化する。

新型コロナの感染拡大は、大型車メーカー各社の生産活動に影響を与えた。部品調達が滞るケースも頻発したが、生産ラインへの影響は最小限にとどめた。これまでにBCP対策の一環として部品供給網の状況を管理するシステムを構築してきたことが貢献した。

日野は、部品供給網を維持・管理する手法として、トヨタ自動車の「レスキュー」に準じたデータベースを整備した。

1次サプライヤー(ティア1)を中心に、仕入れ先の拠点や調達部品などの情報をすぐに検索できるシステムで、新型コロナの感染拡大によりサプライチェーンに影響が出た際にも迅速な初動対応に生かした。

一方、コロナ禍を経て「サプライチェーンが想定していた以上に深いことが分かった」(日野技術開発本部の西原正人調達領域・領域長)として、データベースで管理する情報をさらに充実させる。ティア1を通じて、ティア2以降が担当する生産品目まで把握できるようにする。

いすゞでは、サプライヤーを巻き込んだBCPの啓発活動を通じて、ティア1、2をカバーする部品調達網の管理システムを拡充してきた。

有事の際には、同システムに登録されている情報をもとに、迅速に状況を確認できる体制を敷く。コロナ禍の経験などを踏まえた今後の課題として、データベースに基づき代替生産拠点を洗い出すシミュレーションを強化する。

いすゞの都築成夫専務執行役員は「取引先がどこで何を造っているかといった状況の把握はできても、被害を受けたらどのような対応をとるかという想定がまだまだ甘い」という。取引先の拠点で生産の継続が困難になった場合の代替生産場所をあらかじめ把握する。

例えば、神奈川県藤沢市周辺のサプライヤーの工場で問題が発生した時に、東北地方など他地域にある工場での代替の可能性を検証し、早期の生産立て直しにつなげる。

ティア1と連携して、まずは、試験や評価など代替に時間を要する重要保安部品を対象に、シミュレーションを順次行う計画だ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞12月21日掲載