2020年12月21日
自工会、50年のカーボンニュートラル 業界を挙げて挑戦
日本自動車工業会(自工会)の豊田章男会長は17日、オンラインで日刊自動車新聞などの取材に応じ、政府が打ち出す2050年までのカーボンニュートラル達成について「自工会として全力でチャレンジする」方針を示した。
一方で、現状の延長線上では目標達成は困難であり、技術的なブレークスルーや電動化に必要な新たなサプライチェーンを構築するための政策的、財政的支援を求めていく考えだ。
同日、理事会を開き、政府が示したカーボンニュートラル実現目標に沿って、自工会の今後の取り組みなどについて方針を議論した。
地球温暖化につながる二酸化炭素(CO2)の排出量と吸収量を相殺するカーボンニュートラルを自動車で実現する場合、走行中のCO2を排出しない電気自動車(EV)であっても車両製造時や電力発電時の環境影響も含んで対策を練る必要がある。
豊田会長は日本のエネルギーミックスについて火力発電が77%、再生エネルギーと原子力発電が残りの23%を占める現状を例に挙げ、「国家のエネルギー政策の大変革なしには(カーボンニュートラルは)難しい」との見解を示した。
電動化シフトによって産業構造が大きく変化する可能性について、新たなサプライチェーンの構築に向けては、日本の自動車産業が競争力を維持していくために「欧米中と同様の支援を(政府に)要請したい」とした。
豊田会長は、コロナ禍で世界的に市場が低迷した今年を振り返り「リアルな自動車産業が頑張って(日本経済の)けん引役になった」と述べた。また、21年の展望については「(自動車産業に従事する)550万人が心を一つにしてスタートが切れれば」と期待を込めた。
21年秋に予定している東京モーターショーについて、昨年のモーターショーの来場者数を引き合いに出し、「自動車を軸に未来のモビリティでイベントをやると100万人以上が関心があることが分かった。そのムーブメントをカーボンニュートラルや未来のモビリティにつなげていくか、これが今後のモーターショーを考えていくポイントになる」との考えを示した。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞12月18日掲載