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自動車産業インフォメーション

2020年12月21日

自動車ディーラーのオンライン商談 試行錯誤続く

コロナ禍による非接触ニーズへの対応や顧客負担を軽減するため、国内でもオンライン商談システムの導入が進んでいる。機能のレベル感はさまざまだが、輸入車インポーターが積極的に導入するほか、日系自動車メーカーでもメーカー主導のシステム導入が進む。

ただ、コロナ禍で今春以降に導入が加速したオンライン商談も「感染が落ち着いた時期は利用数が激減した」(輸入車ディーラー営業責任者)と、車の新しい買い方として定着するには至っていない。足元の感染再拡大で再度活用が進む可能性はあるが、試行錯誤の段階が続きそうだ。

コロナ禍を契機にテレビ会議システムを活用したリモート商談、営業スタッフが新車の魅力を伝える動画の発信といったデジタルツールの活用が急速に進んだ。

たとえば輸入車ではBMWが7月、日本で販売する全主要モデルの商談から契約までのすべてをオンラインで完結できる「BMWオンライン・ストア」を開設。

日本のメーカーでは、トヨタ自動車が3月以降にオンライン商談への取り組みを系列販売会社に促し始めたほか、スズキでも11月時点で26社95拠点がビデオ会議システムを活用した販売支援ツール「オンライン相談」を導入した。

ホンダも来年度から一部販売会社に試験導入する方針で、システムの開発を進めているもようだ。

ただ、活用の度合いは限定的だ。訪問を含めた対面営業を行ってきたベテラン社員の抵抗感などが課題に挙げられる。

それでもオンライン化は、コロナ禍で高まる非接触ニーズに対応するだけではなく、販売店の敷居を下げたり、営業スタッフの負担を軽減したりする効果もある。

当面はデジタルツールの活用に抵抗がない都市部の顧客利用が中心と見る向きもあるが、今後、店舗網が縮小し、1店舗当たりの商圏が拡大するとみられる地方の販売店でも活用の余地は大きい。

神奈川県のトヨタ系ディーラートップは「デジタルの世界で新車を検討する人は初めから店舗に来る確率が低い」と従来は取れていなかった新規客獲得への活用法を検討する。

導入が進むシステムが一時的なコロナ禍対策ツールとして終わるのか、新しい購入方法として自動車販売の世界でも根付くのか、メーカーや販売店の模索が続く。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞12月17日掲載