2020年12月18日
政府 運転免許証、マイナンバーカード一体化を2年前倒し
政府は、自動車運転免許証と「マイナンバーカード」の一体化を約2年前倒しで実施することを決めた。11日に開いた「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ」に出席した菅義偉首相が「2024年度末までに実現する」と表明。
同日公表された運転免許証のデジタル化に向けた工程表にも、新たなスケジュールが盛り込まれた。あわせて、スマートフォンなどと連携した「モバイル運転免許証」の導入検討も進めていく方針も明らかにした。
政府は社会全体のデジタル化に運転免許証が大きな鍵を握ると見ており、電子化が一気に進む公算が高まった。
ワーキンググループでは報告書「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤の抜本的な改善に向けて」を取りまとめた。この中で、運転免許証のデジタル化は「マイナンバーカードの機能強化」の一環として取り組む方針。
工程表では全国共通の「運転者管理システム」の整備を22年度末までに完了させ、その後約2年かけて各都道府県で分かれていたシステムを移行させる。従来は全国共通システムを25年度に立ち上げ、26年度中の一体化を目指す計画だったが、大幅なペースアップを図ることになる。
警察庁では現在、運転免許証のICチップ上の情報をマイナンバーカードのICチップの空き領域に記録する方向での一体化を検討しているとみられる。
一体化が実現すれば、住所変更などの諸手続きや優良運転者講習のオンライン化といったドライバーにとっても利便性の高い行政サービスの提供につながる。
これと並行し、モバイル運転免許証のあり方の議論も本格化していく。モバイル運転免許証は世界的に関心が高まっているもので、今後、国際規格の策定状況も注視しつつ日本での実現に向けた議論を進めていく。
諸外国との相互運用性も確立されれば「国際免許証」としての利用シーンも想定され、さらにドライバーのメリットが高まる可能性もある。
政府は運転免許証だけでなく、他の国家資格証もデジタル化やマイナンバーカードとの一体化を加速させる方針。
当面は医師や看護師をはじめとする社会保障などに関わる約30の資格について優先的に取り組んでいく考えだが、将来的に自動車関連を含め、数多くの国家資格について電子化の議論が行われることになりそうだ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞12月15日掲載