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自動車産業インフォメーション

2020年12月15日

自動車公取協 中古販売で冠水車の告知徹底呼び掛け

自動車公正取引協議会(神子柴寿昭会長)が、中古車販売における冠水車の取り扱いについてユーザーへの告知徹底を呼び掛けている。

一部のメディアが自動車公正競争規約では冠水車であることの告知義務を定めていないと報道したことを受け、「販売時に冠水車であることを表示、説明しなかった場合は不当表示に当たる」(事務局)と指摘。ユーザーとのトラブル防止へ同規約の順守を訴えている。

冠水車の販売に伴う消費者トラブルはここ数年、増えている。トラブルの多くは、ユーザーが冠水車であると知らされずに購入したものの、納車後に確認すると冠水車であることが発覚したケースだ。

日本自動車査定協会(廣澤孝夫理事長)の中古車査定基準によると、冠水車とは「集中豪雨や洪水などにより、室内フロア以上に浸水したもの、またはその痕跡により商品価値の下落が見込まれるもの」と定められている。

自動車公取協では、こうした車両をユーザーに事実を知らせずに販売した場合、中古車の品質や性能などを優良であると誤認させる不当表示に当たると指摘。同規約違反になるという。

こうした中、一部のメディアが中古車販売店とユーザーの間で発生した冠水車によるトラブルを報じたニュースの中で、同規約では販売店に冠水車であることの告知を求めていないと受け取れる内容を報道した。

同協議会では、ユーザーへの告知は販売店の義務であることを改めて周知してく必要があると判断し、関係団体などと連携して販売事業者への呼びかけを強化。ユーザーに向けた注意喚起も行うなど、トラブル防止に向けた取り組みを進めている。

ここ数年、大型台風などによる水害が各地で発生している。日本オートオークション協議会(北口武志会長)によると、中古車オークション(AA)における冠水車の取引量も増加傾向にあるという。

全国のAA会場では、出品時に冠水車であることの申告を義務づけているが、大手AA会場の運営担当者によると、成約後に冠水車であることが発覚するケースもあるという。

同協議会による呼びかけでは「エンジンが始動しなくなる、電気系統に支障をきたす、車両火災が発生する恐れがある」ことから、冠水車は「消費者に販売するには適さない」と指摘しており、中古車小売店に仕入れ時のチェックを徹底するよう呼びかけている。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞12月9日掲載