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2020年12月10日

日英EPA、国会で承認 来年1月の発効目指す

日本と英国の包括的経済連携協定(EPA)が4日開かれた参議院本会議で、賛成多数で可決された。国会の承認を得たことで日英EPAは早ければ来年1月から発効する予定。貿易など日英間の企業活動はこれまで通り維持される環境が整った。

日本と欧州連合(EU)のEPAを土台に交渉した日英EPAでは、関税を即時撤廃する自動車部品の品目を増やすなどハイレベルな形で合意。正式に発効することで両国の自動車産業にとってはプラスとなりそうだ。

一方、同日時点で、英国とEU間のEPA交渉は難航しており、仮に合意できなければ、日系企業への逆風となる可能性もある。

「日英EPAは両国間のビジネスの継続性を確保する上で欠かせないものだ」と、梶山弘志経済産業相は国会での正式承認を受け、改めて意義を強調する。英国には約1千社の日系企業が進出しており、英国のEU離脱による企業活動への影響を最小限に抑える上でも必須な協定だからだ。

日本貿易振興機構(ジェトロ)の佐々木伸彦理事長も4日の会見で、「日英間で何らかの約束がなければ、WTO(世界貿易機関)の協定税率に戻り、ビジネス環境としてショックが大きかった」とし、日英EPAが発効すれば「産業界にとって大変喜ばしいこと」と高く評価した。

今後は、英国とEUとのEPA交渉が妥結できるかが焦点となる。英国のEU離脱の移行期間は今年末に迫っている。合意なしで移行期間が終了すれば、英EU間がWTO協定税率に逆戻りするなど通商面にとって厳しい環境が待ち受ける。

梶山経産相もこれまでの日系企業は「英国がEUの一部であるという前提でサプライチェーンを構築してきた」と指摘。「仮に年内に妥結しない場合は、日系企業のビジネスに甚大な影響を与える」と警鐘を鳴らす。

こうした懸念があるのは英EU間の企業も同じだ。合意なしで2021年を迎えれば、双方のビジネス環境が悪化するのは間違いない。梶山経産相は「EUの交渉官が英国に出向き、交渉を続けていると聞いている」と、行方を見守る。

欧州における日系企業が、これまで通りの事業基盤を継続できるかが分かるまでにはもう少し時間がかかりそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞12月7日掲載