2020年12月8日
経産相 エコカー政策見直し 「年内に具体的な計画案」
政府が検討を進めている2030年代半ば以降の国内新車販売をガソリンのみで走行する車以外の電動車とする目標について、梶山弘志経済産業相は4日の閣議後会見で「現時点で具体的な数値目標や年限目標を決定していない」としたものの、電動化の方向性を含め「年内に具体的な計画案を策定する」との考えを示した。
政府は温室効果ガスを50年に実質ゼロにする新たな目標を掲げている。この「カーボンニュートラルの実現のためには自動車の電動化が不可欠」と指摘している。
運輸関連での温室効果ガスの排出量は無視できないレベルであり、脱炭素化に向けてこれまで以上に踏み込んだ政策がとられそうだ。
政府は今後の日本経済の成長に向けた柱の一つとして「グリーン成長戦略」を掲げている。この中で「自動車・蓄電池」分野の重要度は高く、政府の成長戦略会議がまとめた実行計画にも盛り込まれた。
梶山経産相も「電動車の普及、蓄電池の産業競争力の強化を図る」とし、「研究開発・実証・設備投資支援、制度的枠組みの検討、標準化に向けた国際連携といった政策を総動員する方向で検討を深めていく」との考えを示した。
政府が定義する電動車には原動機を要するハイブリッド車(HV)が含まれるとみられるが、ガソリン車の販売に規制がかかれば、内燃機関の需要は大幅に低下すると予想され、自動車メーカーだけでなく、部品メーカーへの影響も避けられない。
梶山経産相は「電動化に伴う自動車産業全般の支援のあり方について、しっかりと検討していく」とした。近く開催するとみられる自動車メーカーとの会議には「詳細を調整している」とし、経産省として業界と連携して脱炭素化に向けた実効性のあるシナリオを描いていくものとみられる。
また、目標達成が困難な自動車メーカーなどが達成済み企業から排出枠を購入できる制度については「具体的に導入を決定した事実はない」とした。
しかし、「こうした取引は他の地域や国も検討している」とし、「自動車に限らず、他の分野を含めて、ありとあらゆる手段を追求していく」とし、50年のカーボンニュートラルの実現に向けてさまざまな選択肢を排除しない方針だ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞12月5日掲載