2020年12月1日
活気づく小型ハイトワゴン市場 スズキが新型「ソリオ」投入
小型ハイトワゴンの競争が過熱しそうだ。ダイハツ工業が「トール」を9月にマイナーチェンジしたのに続いて、スズキが全面改良した「ソリオ」を12月4日に発売する。
ダイハツが2016年に市場投入したトールは、「ルーミー」としてOEM(相手先ブランドによる生産)供給するトヨタ自動車の販売力も生かし、年間約20万台(OEM車含む)と、ソリオの4倍近い台数を稼ぐ。
スズキは、新型ソリオで荷室や後席空間の広さや走行性能などを高めて、巻き返しを図る考えだ。
小型ハイトワゴン市場は、もともとスズキの独壇場だった。ソリオは00年に「ワゴンRソリオ」として登場し、11年に両側スライドドアを採用した2代目を投入。
15年に新型プラットフォームを採用した3代目を発売し、年間4万~5万台を販売してきた。そうした中でダイハツがソリオ対抗車としてトールを市場投入すると、トヨタの約5千店の販売ネットワークも生かし、ソリオの販売台数に一気に差をつけた。
ただ、競合車の登場がソリオにマイナスに作用した訳ではない。トールやルーミーなどが市場に加わった16年度のソリオの実績は前年度比16・9%増、17年度は同4・8%増と販売台数の増加傾向は続いた。
ソリオの開発を担当した永田和夫チーフエンジニアは「競合車の登場で市場が活性化した」と分析する。経済性と居住性に優れる小型ハイトワゴンやコンパクトミニバンは、コロナ禍を契機にファミリー層のニーズが拡大しているカテゴリーでもあり、今後も市場は好調に推移しそうだ。
スズキは成長市場に新型車を投入し、販売台数の上積みを図る。国内営業トップを務める鈴木敏明取締役が、新型ソリオのトールとの差別化ポイントに挙げるのが荷室と後席の広さだ。全面改良では荷室の床面長を100㍉㍍拡大。後席の肩回りも20㍉㍍広げて居住性を高めた。
「静粛性に優れるエンジンの性能も負けていない」(鈴木取締役)と自信を示す。価格競争力に優れているトールの動向を踏まえ、安全装備などを充実させながらも値上げ幅を最小限にとどめた。登録車の主力車種として月間販売台数は従来モデルよりも500台多い4千台を目指す。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞11月28日掲載