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自動車産業インフォメーション

2020年11月27日

大型車メーカー各社 アフターサービスが業績下支え

新型コロナウイルスの影響下で、大型車メーカーのアフターサービス収益が各社の業績を下支えしている。感染拡大による需要減を受け、2020年4~9月期の国内販売台数は日野自動車といすゞ自動車ともに前年同期比で2割超減少した。

ただ、コネクテッド技術を活用した保有ビジネスの強化で、いすゞは大型・小型トラックの入庫率を約5%伸ばし、営業利益を底支えした。日野はトータルサポート(TS)の収益向上で第2四半期の赤字幅を縮めた。コロナ禍でもアフターサービスの拡充により安定した収益を確保する。

新型コロナの感染拡大が商用車メーカーの販売に影響を及ぼした。日野の上期の国内販売台数は同21・1%減の2万8307台、いすゞの国内CV(商用車)は同27%減の3万3千台だった。

需要環境が厳しい中でも、いすゞは上期の営業利益で168億円の黒字を確保。当初計画では、後半期の市場回復を織り込み通期で500億円の営業黒字を見込んでいたが、タイでのピックアップトラックの販売が伸びたほか「CVの保有事業の安定」(片山正則社長)が寄与し通期予想を上方修正した。

日野も販売悪化で大幅減益となる中で、営業損失幅は第1四半期の106億円から第2四半期は11億円にまで改善した。

これまで大型各社が注力してきたコネクテッド技術を活用した保有ビジネスの強化が奏功した。いすゞは19年から通信機能を活用した整備サービス「プレイズム」を全車種で展開し、故障の予兆段階で整備を実施することなどにより安定稼働を支援している。

上半期は「車検と法令点検の比率がずいぶん上がっている」(中俣直人執行役員)とし、大型の入庫率は従来の25%から約30%、小型は30%から35%程度に高まったという。

日野はすでにヒノコネクトを大型から小型トラックまで導入済み。10月からはグループ会社と共同で、毎月定額のメンテナンス料で事前に検知した部位への予防整備が受けられるサービスの試験運用も始めた。

同社は中期経営ビジョン「チャレンジ2025」で入庫率約5割を目標に掲げる。コロナ禍を受け、下義生社長は「足元で新車販売が伸びない中、安定収益を確保する観点からもTSを強化する」と、外部環境に左右されない事業構造の構築を急ぐ構えを示す。

国内の各販社の入庫率を上げるために専任組織を新たに立ち上げ、整備人材不足や車検時間の短縮といった課題の解決を支援する。各施策の実施により22年までに15万台レベルでも収益を確保できる体制を整える構えだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞11月12日掲載