2020年11月19日
国交省 持続可能な高速道路システムへ議論開始
国土交通省は、持続可能な高速道路システムの構築に向けた議論を開始した。社会資本整備審議会の道路分科会国土幹線道路部会で取り上げ、高速道路に求められる高い安全性やサービスを将来的に維持できるよう、通行料金の永続的な徴収への切り替えなど新たな料金体系の導入可否についても話し合う。
また、今後の自動運転時代に必要な道路インフラのあり方についても検討していく。国土幹線道路部会は今後、数回かけて議論して論点などを整理し、2021年の夏頃をめどに中間答申のとりまとめを目指す。
新たな議論に乗り出した背景には、新型コロナウイルス感染症で変革が求められる新たな生活様式などに対応した高速道路システムの構築を急ぐ必要があるためだ。
CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)をはじめ、自動車関連技術の進化も加速しており、こうした新技術を安全に社会実装していくため、道路側に必要な技術導入を含めて未来志向の高速道路のあり方を検証していく。
テーマは「これまでの新たな料金体系の導入、更新事業の実施に対する評価」「自動運転時代、ポストコロナ時代の高速道路の将来像の具体化とロードマップの作成」「社会・経済状況に応じた機動的な料金、利用者重視の料金の推進」に加え、これらを踏まえた「安定的な維持管理・更新・機能強化等による高いサービス水準を維持するために必要なシステムの在り方」とした。
高速道路の料金徴収は建設費などの償還後に無償開放する前提が維持されているが、持続的な基盤を維持し続けるためには、これを抜本的に見直すことも論点となりそうだ。
国土幹線道路部会が9月に公表した中間とりまとめでは、高速道のETC(自動料金収受システム)専用化が盛り込まれるなど注目を集めた。
このタイミングで、「今後速やかに検討すべき課題」として持続可能な高速道路システムの構築を挙げており、いち早く議論がスタートした格好だ。今後の同部会で、長年の課題となっていた料金体系の抜本見直しなどに道筋がつけば、高速道路政策の大きな転換点となる可能性もある。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞11月16日掲載