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2020年11月16日

自賠責を考える会 特別会計への繰り戻し要望

自動車関連団体などを中心とする自賠責制度を考える会(座長=福田弥夫日本大学危機管理学部長)は11日、赤羽一嘉国土交通相と面会し、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の積立金の特別会計への繰り戻しの要望を伝えた。

交通事故発生の減少や被害者の救済などに使われるべき予算の一部が一般会計に貸し出されており、この返還を促すことで障害を負ってしまった被害者や介護する家族への支援を行う財務の安定化を図る。

自賠責制度は1955年に交通事故被害者の救済を目的にスタートした。施行当初は、保険会社の支払い能力の担保や支払い能力確認のために政府の再保険が用意されており、ユーザーが支払った保険料の約8割を政府が管理していた。

その後、2001年に現行の制度へ移行。その際、再保険の運用益から約8700億円を交通事故被害者救済のための積立金として使用することを決定した。

しかし、政府は1990年代半ばに財政悪化を理由として、2000年までの返済予定を立てて自動車安全特別会計から一般会計へ1兆1200億円を繰り入れていた。

自動車安全特別会計への繰り戻しは03年までに約7千億円が実施されたが、翌年から17年まで行われなかった。そのため、10年に自動車関連団体を中心に自賠責制度を考える会が発足し、18年から繰り戻しが再開された。

20年3月末時点で、一般会計に残る約6千億円の返還を求めて活動している。

自動車事故安全特別会計は、被害者救済に使用する自動車事故対策勘定と無保険車との事故やひき逃げなどの損害を補填する補償勘定などで構成する。

現在、自動車事故対策勘定は、年間で約140億円の事業費を必要としており、あと10年ほどで原資となる積立金が不足する状態にあるという。

福田座長は「赤羽国交相へのお願いは2度目。状況は把握されており、被害者団体の声も聴いていただいた。セーフティーネット構築への検討も始まっている。21年中には一定のロードマップ作成のめどがつくのではないか」と、今後の進展に期待を寄せた。

オンラインで現状を説明した全国遷延性意識障害者・家族の会の桑山雄次代表は「事故で後遺症を負った子どもを24年間介護している。加齢などで今後、介護に対応できなくなった場合が心配だ。国として介護業界の待遇改善や重度の後遺症を持つ人を受け入れる施設の拡充を図ってほしい」と要望を述べた。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞11月13日掲載