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2020年11月12日

トヨタ 年末発売の新型「ミライ」を先行展示

トヨタ自動車は、年末に発売する燃料電池車(FCV)、新型「MIRAI(ミライ)」の先行展示を今月から始める。愛知や福島、大阪など5都市で展示するほか、東京では車両を常設展示する。

新型車は燃料電池(FC)ユニットや水素タンクなどほぼすべての部品を刷新し、駆動方式を初代の前輪駆動から後輪駆動に変更。航続距離(初代は約700㌔㍍)も3割ほど延ばした。先代より車格を引き上げ、FCVの特徴を明確化して普及を目指す。

先行展示はミッドランドスクエア(名古屋市中村区)を皮切りに、イオンモールいわき小名浜(福島県いわき市)、阪急うめだ本店(大阪市北区)、ソラリアプラザ(福岡市中央区)、トレッサ横浜(横浜市港北区)で順次、開催。これとは別に今月6日からお台場のメガウェブ(東京都江東区)、イワタニ水素ステーション芝公園(東京都港区)では車両を常設展示。先行展示を通じてFCVへの関心を高める。

トヨタは2014年暮れに初代ミライを本格的な量販FCVとして発売した。累計1万台以上を販売したものの、水素タンクの搭載スペースに限りがあるほか、他の電動化技術との差別化が難しく、思うように販売を伸ばせなかった。

2代目はこの反省から車格を引き上げ、より自然な走行感覚が得られる後輪駆動に変更した。国内では少なくとも月販1千台を目指すと見られる。達成すれば初代の累計販売をほぼ1年で販売することになる。

今後はトラックやバスなど、FCVの利点を乗用車より活かせる商用車にも力を入れる考えで、関連する特許を30年末まで他社に無償提供しているほか、6月には中国の自動車メーカーと、商用FCVを開発する「連合燃料電池システム研究開発(北京)有限会社」の設立に向けた合弁契約も締結した。

新型車の投入を機にFCスタックや水素タンクの生産能力も引き上げる計画だ。

FCVは、車載可能な固体高分子型FCが登場した1980年代に自動車各社が一斉に開発を始めたが、リチウムイオン電池により電気自動車(EV)に普及で先行された。

ただ、短時間の燃料充てんで長距離が走れることや、製造から消費までの水素サプライチェーン(供給網)を確立すれば温室効果ガスの大幅な排出削減につながることから、官民で開発を続ける国も多い。自動車メーカーではトヨタやホンダ、韓国・現代自動車、商用車メーカーらが開発を続けている。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞11月5日掲載