中国で電動車の普及が加速しそうだ。中国の自動車業界団体は10月27日、2035年までに全ての新車を電気自動車(EV)など新エネルギー車(NEV)やハイブリッド車(HV)に切り替える方針を示した。今後、中国政府の政策に反映される見通しだ。

エンジンのみの車は販売できなくなるものの、日系自動車メーカーが強みにしてきたHVの販売は認められるため、各社の中国事業にとっては追い風になる。

中国自動車エンジニア学会が工業情報省の指導を受けて35年に向けた電動化のロードマップを提示した。35年に50%超をNEVとし、残りをHVとする構想だ。

現状、NEVの比率は約5%だが、25年に20%前後、30年に40%と段階的に引き上げるとともに、非NEV車に占めるHVの比率を25年に50%超、30年に75%超、35年に100%に増やす。燃料電池車(FCV)の保有台数も約100万台に拡大させ、二酸化炭素(CO2)の排出量削減につなげる。

HVの市場拡大につながるこのロードマップが政策に反映されれば、日系自動車メーカーにとっては追い風だ。19年の中国HV販売はトヨタ自動車が前年比18・8%増の23万7千台、ホンダが同165・4%増の12万400台だった。

市場は低迷期だったが、それぞれHVをけん引役に中国の販売台数を伸ばした。今後の市場拡大を見据え、トヨタはHVシステムの外販も進めるほか、HVでは遅れていた日産自動車も独自の「eパワー」を23年度までに中国に投入し、EVを含めた電動化比率を23%に高める計画だ。

ホンダはEVなども含めて25年までに20車種以上の電動車を投入する。各社は電動車投入を積極化し、拡大する需要を取り込む。

HVの市場拡大が日本勢には優位に働く一方、テスラや24年までの5年間でEVなどに約1兆8千億円を投資する方針を打ち出したフォルクスワーゲンと比べると、日系自動車メーカーのEV対応は遅れ気味だ。日産のほか、トヨタやホンダもEVの投入を積極化しているが、今後の課題になりそうだ。