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2020年11月5日

音楽のヤマハ、車載オーディオ強化 24年めどに実用化

ヤマハは、車載向けのオーディオ事業に乗り出す。対象物の動きに合わせて音像(感覚上の音源)を移動させる独自技術を応用した先進運転支援システム(ADAS)用アラートシステムを2024年をめどに実用化する。

また、スピーカーとアンプモジュールなどをセットにした「ヤマハブランドオーディオ」の提案も開始。すでに中国メーカーの電気自動車(EV)に採用が決まっており、今後は日系メーカーにも提案を進める。

「楽器で培った『生の音』を作る技術を車の領域でも生かす」(IMC事業本部電子デバイス事業部の鳥羽伸和事業部長)方針で、車載用を中心にした電子デバイス事業を「楽器」「音響」に次ぐ第3の柱に育てる考えだ。

24年以降に実用化を目指す「ADASサウンド」は、運転席周辺に設置した小型スピーカー2台で、音が移動しているように再現する技術を特徴とする。

車載センサーなどと連携させることで、例えば後方から接近する車両の動きに連動して、アラート音も後方から前方に動いて聞こえるようにできるという。すでにデモカーを開発し、完成車メーカーを中心に提案を進める。将来的にはカーナビゲーションや交通インフラとの連携も視野に入れる。

ヤマハブランドオーディオは「車内の音をトータルでコーディネートする」(同)ことをコンセプトに開発した。独自の信号処理やチューニング技術を用いることで、「高中低音をクリアに表現した」(同)。すでに吉利(ジーリー)グループのEVに初採用された。中国系メーカーに加え、日系メーカーからも引き合いが来ており、提案を積極化する。

今後は、シートメーカーや電機系の部品メーカーなどとの協業も視野に入れる。ADASやエンターテインメントの領域だけでなく、例えばウインカーやスタータースイッチの操作音などにも対象を広げ、「車両の企画の段階から参画する」(同)ティア1サプライヤーに近いポジションを目指す。

足元の車載用を中心とした電子デバイス事業の売り上げは全体の数%にとどまる。これを30年をめどに1~2割規模に引き上げたい考えだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界