2020年10月30日
首相所信表明、脱炭素化やEPA発効 菅内閣の手腕に注目
第203回臨時国会が26日、召集された。9月に発足した菅義偉内閣として初めての国会論戦に臨むことになる。会期は12月5日までの41日間。菅内閣は今国会で、日本と英国間で23日に署名した「日英包括的経済連携協定(EPA)」の承認を目指す。
また、菅首相は所信表明演説で「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と宣言した。従来の同年までに80%減としていた政府目標を大幅に刷新した格好だ。
脱炭素化の実現には排出量の大きい運輸部門の貢献も欠かせないことから、自動車産業のゼロエミッション化の促進も求められそうだ。
菅首相は「日英の経済連携協定を締結し、日系企業のビジネスの継続性を確保する」と、来年早々の日英EPAの発効に意欲を見せた。
新型コロナウイルス感染症の影響などにより「世界経済が低迷し、内向き志向も見られる」と懸念を示した上で、「率先して自由で公正な経済圏を広げ、多角的自由貿易体制を維持し、強化していく」ことが、日本の持続的な成長には欠かせないとの思いがあるためだ。
また、新型コロナによって明らかになったデジタル化の遅れやサプライチェーンの偏りといった日本の課題の克服に向けた取り組みも加速させる。菅首相は「デジタル化をはじめ大胆な規制改革を実現し、ウィズコロナ、ポストコロナの新しい社会をつくる」と強調。
この一環としてデジタル社会のカギとなる「マイナンバーカード」が「今後2年半のうちにほぼ全国民に行き渡ることを目指す」としたほか、「運転免許証のデジタル化も進める」方針も示した。
感染予防と経済成長の両立につなげるため、新型コロナのワクチン関連の法案も提出される見通し。日本学術会議の任命拒否問題などで野党との激しい論戦も見込まれる中、いかに空転させず、早期の法案成立につなげられるか、菅内閣の手腕に注目が集まりそうだ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞10月27日掲載