2020年10月29日
日本と英国、EPAに署名 21年初頭の発効目指す
日本と英国の両政府が交渉を進めてきた包括的経済連携協定(EPA)の署名式が23日、東京都内で行われた。英国のエリザベス・トラス国際貿易相が来日し、茂木敏充外務相と署名に臨んだ。
茂木外務相は「この協定を日英の関係をさらに強化、発展させる基盤にしたい」との期待感を示した。日英EPAは2021年初頭の発効を目指しており、今後、両国政府は国内手続きに入る見通し。日本政府は26日に召集される臨時国会で審議し、早期の承認を目指す構えだ。
日英EPAは9月11日の大筋合意の内容通り、経済産業省所管の鉱工業品全体で97%の品目について関税が即時撤廃されることになった。日本と欧州連合(EU)とのEPAでは96%であり、よりハイレベルな内容となっている。
自動車分野では日EUのEPAに比べて、英国の日系自動車メーカーの競争力を高められる自動車部品についても関税の即時撤廃が追加されている。また、乗用車の完成車にかかる関税については、日EUと同様のタイミングで段階的に削減し、26年2月に撤廃する。
日本と英国は、英国のEU離脱の移行期間が終了した翌日に日英EPAを発効させる方針。両国の国内手続きが予定通り完了し、20年末とされている移行期間の延長がなければ、来年1月1日に発効する可能性は高い。
一方、想定通りの経済効果を発揮できるか、懸念も残っている。英国とEU間のEPA交渉はいまだ合意に至っていない。
仮に合意なしでのEU離脱となれば、日英EUのサプライチェーンに悪影響を及ぼしかねず、日系企業の業績にも跳ね返る。年末にかけて、英EUの今後の交渉の行方からも目が離せない。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞10月26日掲載