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2020年10月28日

こくみん共済と金沢大 交通安全教材とデジタル標識共同開発

全国労働者共済生活協同組合連合会(こくみん共済coop、廣田政巳代表理事理事長)は、子どもを交通事故から守るための交通安全教材とデジタル標識を金沢大学と共同で研究・開発し、幼稚園の協力を得て実証実験を行った。

子どもらが楽しみながら交通ルールを学べる教材づくりや登下校時の安全対策などに取り組むことで、子どもの交通事故ゼロを目指したい考えだ。

同会は、SDGs(持続可能な開発目標)行動宣言の重点課題に「子どもの健全育成の取り組み」を掲げている。その中で、小学校にあがり行動範囲が広がる7才児が、他の年齢に比べて突出して交通事故に遭いやすいという調査結果から、2019年1月から「7才の交通安全プロジェクト」を展開している。

同プロジェクトの一環として今回、金沢大学理工研究域地球社会基盤学系の藤生慎准教授と、同大学人間社会学域学校教育学類附属幼稚園(金沢大学付属幼稚園)の協力を得て、子どもが楽しく交通ルールを学べる教材とデジタル標識の共同研究・開発を行った。

教材「7才の交通安全マップ」は、交通の専門家や親だけでなく幼児教育の専門家による交通安全教育が必要という調査結果を踏まえて開発。園児や保護者の意見も反映しながら、クイズ形式で交通安全ルールを学べるものとした。

デジタル標識は、「一般的な標識の配置とデザインでは危険を知らせるサインが子どもの目に留まりにくい」という研究結果から、ビーコン・デバイスを持った子どもが標識に近づくと、犬やペンギンなどの動物の動画を再生して中期喚起する仕組みを採用した。

開発した教材とデジタル標識の実証実験は、金沢大学付属小学校の1年生を対象に行った。調査では①交通安全マップのレクチャーを受けた教員から交通安全に関して教育②交通安全マップのレクチャーを受けていない教員から交通安全に関して教育③交通安全に関する教育なしの3グループに分かれて実施した。

被験者にアンケートを行い、実験前後の交通安全に対する意識の変化などを検証した。「道路を歩く際の歩行位置」の理解度は、レクチャーを受けた教員のグループと、そのほかのグループでは50ポイント近い差があることが判明。交通安全マップを活用した教育の有効性が実証できたという。

デジタル標識の実証実験では、金沢大学付属小学校1年生にビーコンを配布するとともに、同校付近の交差点など3カ所にデジタル標識を設置。ビーコンを携帯していない場合との交通安全に対する意識の差などを検証した。

結果では、ビーコンを携帯した児童は携帯しない場合と比較して、横断歩道での一時停止や左右確認の割合が約6割増加した。また、ビーコンを携帯していない児童に対して注意喚起する効果も表れたという。

同会では、交通安全マップを石川県、富山県、福井県の小学校に配布した。デジタル標識は実証結果を踏まえながら、地方自治体などと相談して設置を検討する。

カテゴリー 交通安全
対象者 キッズ・小学生,自動車業界

日刊自動車新聞10月24日掲載