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2020年10月5日

経産省、予算概算要求 サプライチェーン強靱化を加速

経済産業省と環境省は9月30日、2021年度予算の概算要求を発表した。経産省は20年度当初予算比12・7%増となる総額1兆4335億円を計上。環境省は東日本大震災復興特別会計の減少により総額では同25・6%減の7571億円としたが、震災特会を除けば同17・2%増の3975億円となっている。

来年度予算は新型コロナウイルス感染症対策が主軸の1つとなっており、足元の対応だけでなく、コロナ後を見据えた社会構造の転換を目指す事業も盛り込まれている。予測しにくい新型コロナの影響のため、金額を定めない「事項要求」も増えており、最終的に予算額はさらに拡大しそうだ。

経産省は、第5世代移動通信システム(5G)を活用した製造業の変革力強化につながる研究開発事業へ新規で18億円計上するなど、コロナ禍で顕在化したサプライチェーン強靭化に向けた動きを加速させる。

中小企業対策費として同27・8%増の総額1420億円も要求しており、円滑な事業承継を実現する補助金の新設などに取り組む。自動車産業も支えている中小企業の中には、新型コロナの影響も重なり廃業を選ぶ企業も少なくない。中小企業の新陳代謝も含めた支援拡充により、次代の経済成長の基盤づくりにも力を注ぐ。

また、電気自動車(EV)など「クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金」は200億円と、20年度予算に比べて70億円増額するなど、次世代車の普及による脱炭素化にも力を入れていく計画。エネルギー対策特別会計では水素社会の実現に向けた燃料電池車の普及や水素ステーション整備支援などの事業も進めるとしている。

環境省では新型コロナ対策の1つとして、バッテリー交換式EVによる高効率かつ脱炭素化につながる物流モデルの実証実験などに取り組む方針。予算額も20億円と20年度比で倍増させる。

新型コロナをきっかけにニーズが高まる新たな働き方にも対応し、働きながら休暇をとる「ワーケーション」の推進も新規事業として概算要求に盛り込んだ。一方、5年以上継続実施している事業の廃止や見直しを進めるなど「選択と集中」を図り、限られたリソースの有効活用にもつなげる。

国土交通省でも新型コロナをはじめとする緊要な経費として、事項要求で少なくとも数千億円規模の追加予算を確保したい考え。今後、感染状況などを踏まえながら、各省庁と財務省間で事項要求を含む調整が本格化する見通しだが、国の予算全体では最終的に3年連続で100兆円の大台を超える可能性は高い。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞10月1日掲載