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自動車産業インフォメーション

2020年10月2日

産構審と中環審、リサイクル制度 関連団体からヒアリング

経済産業省の産業構造審議会と環境省の中央環境審議会は25日、5年に1度の自動車リサイクル制度の評価・検討を行う合同会議をオンラインで開催した。

自動車リサイクル制度の評価・検討を行う会議としては2回目の開催で、今回は関連団体や消費者団体から自動車リサイクルに関する課題や要望をヒアリングした。

自動車リサイクル促進センター(JARC)は活動実績と今後の取り組みについて説明した。2018年から開始したESG(環境、社会、ガバナンス)投資についての実績や、返還されていないリサイクル料金である特預金の残高、リサイクルの普及活動などの状況を公表した。

特預金に関しては増加傾向にあるという。加えて、24年度に法律による「20年時効」が発生し、返還の義務がなくなる。残高はさらなる増加が想定されており、26年に予定する自動車リサイクルシステムの大改修の費用に使用することも検討する。

委員からは、20年時効を迎える前に最終使用者へ通知する意向について質問があった。JARCは最終ユーザーの確認が難しく、24年に向けて関係各所への周知に取り組んでいく方針を説明した。

また、自動車リサイクルへの理解促進の施策については、イラストや写真を活用したわかりやすい資料の作成、リリースの配布頻度を高めるなどの対応を行っている。小学生と保護者を対象としたイベントを開催し、将来のユーザーに向けた早期の情報発信にも取り組む。

日本自動車工業会(自工会)は、現行制度の評価と課題などに言及した。新車購入時にリサイクル料金を徴取することで、不法投棄の抑制につながっている点を評価。

一方、廃車時の実費と徴収金額の差でメーカーに黒字が発生するケースがありユーザーの公平な負担が難しい点、車台番号で管理することの費用面での非効率性などを指摘した。

メーカー収支が黒字の場合は、収益化ではなくリサイクル料金・手数料の低減に反映する手法の検討やリサイクルシステムの大改修に合わせた課題への対策などを提案した。

また、自工会がJARCの経営安定化のために自主的に拠出している資金を24年度で終了することを提案した。この点には委員から「自動車メーカーはリサイクルに対する包括的な責任を負っており、拠出は継続すべき」と意見が出され、議論を継続することを決定した。

そのほか、リチウムイオン電池の処理の問題や海外におけるリサイクルシステム構築支援などを報告した。次回は30日に開催し、引き続き関連団体からヒアリングを行う。

カテゴリー 会議・審議会・委員会
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞9月28日掲載