2020年9月30日
国産オープンカー、好調な動き コロナ禍でニーズ拡大
コロナ禍や消費税増税を契機に低空飛行を続ける国内新車市場で国産スポーツカーが堅調な販売をみせている。中でも好調なのがオープンカーだ。マツダ「ロードスター」は7、8月に前年比で3割以上のプラスとなり、ホンダ「S660」の前年比は4月以降の全ての月で市場を大きく上回る水準で推移する。
この一因には、コロナ禍を背景に「密」を避けて開放的な運転を楽しみたいというニーズが拡大していることがあるようだ。
国内の新車販売台数(含軽)は5月の前年同月比44・9%減を底に回復基調にあるものの、昨年同期の水準が増税前の駆け込み需要で高かったこともあり、足元でも1割以上のマイナスが続く。その中でオープンカーの販売台数が市場を上回る勢いで伸びている。
現在、国内で生産するオープンカーはロードスター、S660のほか、ダイハツ工業の「コペン」、トヨタ自動車が7月に発売したレクサス「LC500コンバーチブル」、マツダが生産する「アバルト 124スパイダー」の5車種。
この中で好調なモデルの1つがロードスターだ。4月に受注を開始した100周年特別記念車の販売が好調に推移し、7月に同49・7%増、8月に同37・8%増と大幅に増加した。8月には8カ月ぶりに登録車の車名別ランキングの上位50位に食い込んだ。
特別記念車は全車種に設定しているものの、「ロードスターはファンが多い」(マツダ)ため、コロナ禍の影響が少なかったほか、オープンカーニーズの拡大も追い風となったとみられる。
S660も安定的な売れ行きを続けている。意匠の変化や装備を充実化するマイナーチェンジを1月に実施した効果はあるものの、コロナ禍の影響が本格化して以降も全ての月で市場を上回る販売水準を維持。6~8月は市場が同1~2割のマイナスだったのに対し、前年同等の水準を確保した。
トヨタもレクサスとして約6年ぶりとなるオープンカーモデルを「LC500」に設定。限定60台の抽選販売とした特別仕様車「ストラクチャラルブルー」は受付開始後、早々に限定数を上回る応募が入ったという。
コロナ禍を契機に車に対するニーズが変わりつつある。オープンカーの販売規模はもともと小さいため、短期的な増減率の推移だけでニーズの変化を計ることができないものの、今後市場拡大する可能性もありそうだ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞9月12日掲載