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自動車産業インフォメーション

2020年9月25日

日刊自連載「自動車整備業界 動向調査レポート」(下)生き残り

日刊自動車新聞社がフォーバルと実施したアンケート調査では、「生き残り」を不安視する自由回答が多く寄せられた。「特定整備の導入や電動化などに向かっていく中で自然淘汰されていく会社と生き残っていく会社に分かれていくと思われる」(東京都の指定工場)というように、技術革新・制度改正への対応が一つの鍵となる。

「業務提携や合併も視野に入れた経営が必要になるだろう」(兵庫県の指定工場)という見方もあり、事業承継を含めた新しい経営の在り方を検討する動きも増えそうだ。

自動車技術の発展に対する姿勢について、「できる範囲でついていく」が57・5%で最も多かった。

「時代についていけない整備工場は縮小せざるを得ないだろう」(埼玉県の指定工場)という認識の一方で、「電動化で(整備需要が)縮小方向に進むのは間違いないが、そのために何をすべきか考えられない」(京都府の指定工場)と、ついていけるかどうか不安を抱える事業者も多いと見られる。

「積極的についていく」は36・8%、「ついていくつもりはない」が1・7%、「決めかねている」が4・0%だった。

4月にスタートした「特定整備」制度の概要について「把握している」事業者は57・1%、「部分的に把握している」が33・7%、「良く分からない」が8・0%だった。

特定整備では自動運行装置に関連するエーミング(機能調整)を実施するために、新設された認証資格「電子制御装置整備」が必要となる。スキャンツールを用いて、エーミング作業を行っていることが不可欠だ。スキャンツールを「持っている」のは75・7%、「持っているが十分ではない」(16・5%)を合わせると9割を超えた。

エーミング作業については「2019年度末までに行った」が39・6%、「これから行う」が46・7%という状況だ。「特定整備への関心は低く、何とかなると思っている事業者が多い」(新潟県の指定工場)と取り組みの遅さを指摘する声も出ている。

「OBD車検」の概要について「把握している」は37・3%、「部分的に把握している」が48・3%で、把握の度合いは特定整備よりも低い傾向のようだ。

技術革新や環境変化の中、事業を継続していく上で大きな課題となるのが事業承継だ。後継者については「いる/決めている」が49・7%で、「いない・決めていない」の47・7%を若干上回った。後継者を決めていない事業者は「まだ具体的に考えていない」が86・0%と圧倒的多数。後継者未定の事業者が問題を先送りにしているとみられる。

事業継承について関心のあることは「後継者及び支える幹部のレベルアップ」が最も多く、「後継者の教育」、「事業承継の進め方全般」と続いた。第三者への譲渡を視野に入れた「譲り受けてくれる(譲り渡す)相手がいるかどうか」、「自社の適正の評価額」についても一定の関心が寄せられた。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞9月19日掲載