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2020年9月24日

日刊自連載「自動車整備業界 動向調査レポート」(中)人材不足

人材不足に対する経営者の認識は、コロナ禍で変化しているのか―。日刊自動車新聞社がフォーバルと実施したアンケート調査によると、半数以上が人手不足と感じているものの、4割以上が「適正」と回答している。社員の定着率も高く、人手不足を深刻な課題としている事業者は少ないことが分かった。

人手不足の補てんとしての外国人採用には消極的で、半数以上が「採用するつもりはない」としている。

一方、「先進技術が進むので、スタッフの技術の習得が必要だ」(山形県の指定工場)というように、高度整備技術への対応をはじめとする人材育成については、うまくいっている企業とそうでない企業とが二分された。働き方改革への対応についても4分の1の事業者が苦慮していることがわかった。

18歳人口が減少し、若者のクルマ離れの影響などで整備士の志望者数が減少し続けている。多くの企業が人材不足を課題に挙げてきたが、コロナ禍によって状況が変わったと受け取れる結果が表れた。

今回の調査では人材が「不足」と回答した事業者は15・5%にとどまった。「やや不足」(36・5%)を合わせると、半数以上が不足と感じているものの、42・3%が「適正」と回答している。

これを反映してか、外国人(技能実習生もしくは特定技能)の採用については消極的な様子がうかがえる。すでに採用している事業者は7・7%と僅か。「採用が決まっている」(24・8%)、「今後採用を検討したい」(16・5%)を合わせても半数に満たない。

しかし、外国人人材を採用している事業者は、「満足」が41・4%、「やや満足」が27・6%と約7割が満足している。勤勉さや技術習得に対する姿勢を高く評価する向きは多く、長期的な労働力の確保という観点から、自社の戦力化として検討する事業者が増える可能性は高い。

社員の定着率は、「高い」が34・3%、「やや高い」が25・7%で合わせて6割に達している。「低い」が3・7%、「やや低い」が6・1%と合わせても10%以下で、人材の定着については各社とも満足している模様だ。

採用や定着率向上にも重要な働き方改革(労働時間の短縮)への対応については回答が分かれた。「概ねできそう」が32・3%と最も多かった一方で、「できそうにない」が10・8%、「部分的にできそうにない」が16・0%、「どちらともいえない」が25・7%と、対応の難しさが課題となっている。

「今後スキャンツールも使えない、OBD(車載式故障診断装置)車検も分からない事業者はお客さまの信頼を得られず、経営は厳しくなってくる」(新潟県の指定工場)とみられ、「整備技術による安心感と安全性を追求する本来の姿を模索すべき」(静岡県の指定工場)と、整備技術の高度化対応が喫緊の課題といえる。

将来を担う若手や技術革新についていける整備士がいないということも人手の不足感につながる。そこで重要となるのが整備人材の育成だ。これについては「課題あり」が29・2%、「多くの課題あり」が8・1%と合わせて37・3%。一方、「多少課題はあるが順調」は31・2%、「順調」が4・5%で合計35・7%と、ほぼ二分された結果となった。

この調査は今年5~8月に実施し、全国750社から有効回答を得た。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞9月18日掲載