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2020年9月18日

国産乗用車販売でSUV比率急上昇 30%超えも視野に

国産の乗用車販売台数でSUV比率が急上昇している。8月は前年同月比8・7㌽増の28・2%と大幅に伸びた。従来からSUV人気は高かったが、新型車効果とコロナ禍による生活様式やクルマ選びの変化が販売増を一層後押しした。

8月31日にはトヨタ自動車が新型車「ヤリスクロス」を発売して順調に受注を積み上げている。今後は、単月ベースで統計開始以来初となる30%超えやミニバン比率超えも視野に入った。

新車販売需要が落ち込む中、SUVの販売台数は前年超えで推移している。日本自動車販売協会連合会(自販連、加藤和夫会長)の調べによると、8月の国産SUV販売台数は前年同月比20・7%増の4万2035台と大幅に伸びた。

コロナ禍の影響が最も大きかった4、5月は前年実績を割り込んだが、6月は新型車効果などでプラスに転換した。7、8月の前年同月比は2カ月連続で20%を超えている。

国産SUVの販売台数増をけん引しているのが、SUVラインアップを拡充しているトヨタだ。2019年11月に発売した「ライズ」は、登録車の月間車名別販売台数でベスト3の常連となり、8月は2位だった。

5月に全面改良した新型「ハリアー」は、8月に前年の2倍超となる6231台と、登録車の車名別ランキングで6位だった。トヨペット店の専売車だったが、5月から始まった全店舗全車種販売が拡販に弾みをつけた。

国産乗用車に占めるSUV比率は19年10月まで20%前後で推移していたが、ライズが発売した同11月は26・0%に、20年1月には29・2%にまで上昇した。その後やや落ち着いたものの、ハリアーが発売した6月以降は再び20%後半に高まっている。

SUV比率が急上昇した背景について、コロナ禍による外出自粛などでユーザーのクルマ選びの基準が変化しているとの見方も少なくない。「3密」を避けられるレジャーとしてアウトドアや中・近距離ドライブのニーズが高まる中、それらを楽しむための用途としてSUVが選ばれていることも販売増の要因の一つに挙げられる。

「自粛生活で海外など大掛かりな旅行などに行けない中、従来よりもマイカーにお金を掛けるユーザーもいる」(ディーラー関係者)という。ディーラーにとってもSUVは台当たりの利益率が高く、用品販売による利益の上積みも期待できる車種。

コロナ禍による新たなニーズを捉えた提案活動が、SUVの拡販につなげるものとして、今後は欠かせなくなりそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞9月15日掲載