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2020年9月17日

福島で「グリーンスローモビリティ」 実証実験開始

福島交通(武藤泰典社長、福島県福島市)やみちのりホールディングス(松本順CEO、東京都千代田区)などは共同で、IoT(モノのインターネット)技術を活用したグリーンスローモビリティの実証実験を福島県飯舘村で開始した。

路線バスを補完するラストワンマイルとして電動マイクロバスを導入することで、地域住民や観光客が便利に移動できる環境を構築する。また、IoT技術を活用した遠隔運行支援を試みる。

福島交通、みちのりホールディングス、ジョルダン、福島県飯舘村は地域コンソーシアムを形成し、ラストワンマイルの確保、観光振興など飯舘村の交通課題の解決に取り組む。

電動で、時速20㌔㍍未満で走る4人乗り以上のパブリックモビリティとしてのグリーンスローモビリティを活用することで、環境負荷の低減にも着手する。

また、ジョルダンやパイオニア(矢原史朗代表取締役兼社長執行役員、東京都文京区)、パイオニアスマートセンシングイノベーションズ(PSSI、高木晴彦社長、東京都文京区)、富士通が遠隔からの安全運行支援システム、車両予約システムの技術を提供する。

地方では、ラストワンマイルの効率化が課題となっていたものの、各所に営業所や運行管理施設を持つ必要があるため、参入企業にとっては負担が大きかった。IoTで遠隔からの運行監視が可能になれば、自社が営業所を持たない地域でも運行管理を行うことができるため、地域の交通課題を低コストで解決できると期待されている。

一方、飯舘村のような中山間地で持続可能な事業として成立させるためには、地元のNPO(特定非営利活動)法人や社会福祉協議会が選定した高齢者を含む現地住民が運転士の役割を担うことが必要になる。安全性を担保するためにも、遠隔からの運行支援が重要だ。

遠隔運行支援には、ジョルダンの通信技術、パイオニアの音声通話システム「Any―on」、PSSIの測位技術を活用する。

車両に設置したカメラによる車両前方と車内の映像データや、GPSユニットによる車両位置情報を福島交通の運行監視センターに配信するシステム、監視側と車両側で音声によるコミュニケーションを可能とするシステムの導入を試みる。

営業所は、遠隔で運転士に対して運行ルートの指示といった安全運転支援のほか、残高管理やチケット管理、運転士のシフトを組むといった運行計画作成ができる。

また、車両予約システムを充実させることで、幅広い年齢層のユーザーに対応するほか、予約に伴う運行管理者の業務負荷を軽減する。一般的な予約方法であるウェブフォームからの予約やオペレーターを介した電話予約に加え、自動音声対応での電話予約、バス停に設置した呼出ボタンからの予約を導入する。

域外からの訪問者の利用も想定し、操作性・視認性に配慮した車両予約システムを用意する。飯舘村での実証実験は前、後半に分けて実施し、11月15日に終了する予定だ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞9月4日掲載