2020年9月16日
自動車メーカー各社、サブスク拡充 コロナも後押し
自動車メーカー各社がサブスクリプションサービスを拡充している。ホンダや日産自動車は取り扱いエリアを拡大し、トヨタ自動車は車両のみならず付帯サービスの充実を図る。新型コロナウイルスの感染拡大でマイカーの価値が見直される中、所有より気軽に利用できるサブスクサービスが改めて注目されている。
サブスクサービスで先行するのがトヨタの「KINTO(キント)」だ。昨年2月から東京でトライアルを実施、7月から全国展開をスタートさせた。その後、取り扱い車種を拡大するとともに、契約期間を3年に加え5年、7年を新たに設定、期間中の車両乗り替えを可能とするなどプランも拡充してきた。
「キントワン」は整備や税金、保険料をパッケージ化したフルサービスリースの延長上にあるが、付帯サービスを充実させて既存のリースとの差別化を図る。車のコネクテッド機能で利用者の安全運転などをスコア化しポイント還元するサービスを開始したほか、車の利用を促す独自付帯サービスをベンチャー企業などと連携して展開する方針だ。
日産も新車のサブスクサービス「クリックモビ」を展開する。コロナ禍で注文時の来店を不要とするサービスの需要が高まると判断し、それまでトライアルで進めてきたサブスクを3月から本格的にスタートさせた。全国に先駆けて感染が広まった北海道を皮切りに、9月1日現在で29都道府県まで取り扱いディーラーを拡大している。
ホンダの「マンスリーオーナー」は、対象車種が中古車であることと利用期間が1~11カ月と短いことが特徴だ。
トヨタや日産のサブスクが個人リースに近いサービスであるのに対し、ホンダはレンタカーやカーシェアリングにより近く、「利用」と「所有」の中間にあるニーズに着目した。車に対する価値が多様化する中で、1月のサービス開始から着実に利用者数は拡大している。
コロナ禍による日常生活の変化で車のサブスクは新たなニーズの受け皿にもなりそうだ。ホンダはサービス開始当初、短期間サブスクのニーズは「買い替え検討」や「期間限定用途」が中心になると読んでいたが、通勤や帰省で公共機関の利用を避ける目的にサービスを利用する声も増加しているという。
コロナ禍による「ニューノーマル(新常態)」でサブスク需要はさらに伸びる可能性がある。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞9月11日掲載