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自動車産業インフォメーション

2020年9月14日

自動車メーカー各社、中古車事業を強化 新車低迷下でも好調

自動車メーカー各社が中古車販売強化に乗り出している。トヨタ自動車は中古車のインターネット通販を開始し、ホンダやマツダは新車ディーラー間での在庫を共有化する。

新型コロナウイルス感染拡大による需要低迷下でも中古車需要は新車を上回る回復の勢いを示すが、中古車販売では専業者や大手事業者が台頭している。「密」を避ける目的でクルマを利用した移動ニーズが高まる中、メーカーならではのスケールメリットを生かした新たな取り組みで中古車市場での存在感を高める。

新車ディーラーにおける中古事業への取り組みはばらつきがある。トヨタでは、系列新車ディーラーの年間中古車小売り台数が新車の150万台に対して40万台にとどまる。

ディーラーでは、新車販売時の下取り時に中古車の〝タマ〟を確保できるものの、利幅が大きい高価格帯の車両は自社で小売りし、低価格帯の車両はオークションに出品することで換金するケースが多い。

トヨタの中古車ネット販売では、これまでオークションに流し専業者が落札していた価格帯の品ぞろえが中心となる。これまでディーラーで売り逃していた低価格帯の車両を、ネットを介すことでディーラーでも手間をかけずに小売りし、トヨタユーザーの顧客層を拡大する狙いがある。

昨年8月に認定中古車制度を刷新したホンダは、新たなブランド名称「U―Select(ユーセレクト)」への店舗意匠変更をほぼ終え、今秋には共有在庫管理システムの運用を開始する計画だ。小規模ディーラーが多数を占める同ブランドにおいて、系列ディーラーが集結して自銘柄の取引を拡大する。

一方、マツダは2016年から在庫共有化を開始したが積極的に自社在庫を掲載するディーラーは直営店が中心で、ブランド内での中古車流通は限定的だ。中古車事業は自動車メーカーにとって実質的に実入りがなく、新車ディーラーも取り組みはまちまちだ。

ただ、国内の新車市場が縮小する中、バリューチェーン拡大を狙いに中古車小売りへの関心は高まっている。コロナ禍でネット販売や低価格で即納できる車両ニーズの高まりも追い風となり、自動車メーカーが中古車事業を強化する傾向は加速しそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞9月9日掲載