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2020年9月11日

デロイトトーマツ調査 ポストコロナ、3密回避で車に注目

新型コロナウイルスの感染拡大防止策として都市部を中心にテレワークが進み、電車やバスなどの公共交通機関での移動が減少傾向にある。その一方で、3密(密閉、密集、密接)を避けるための移動手段として自家用車に再び注目が集まっている。

デロイトトーマツコンサルティング(佐瀬真人社長、東京都千代田区)が6月に行った「ポストコロナの移動に関する意向調査」では、人口中核都市において、電車の代わりにマイカーでの移動を選択する人が増加したとの結果もあった。ただ、依然として「(車に対して)無関心層は増加しており、クルマ離れは今後も進む」と同社は予想している。

コロナ禍の影響で、移動に求めるニーズに変化が出てきている。2018年の同社調査時は「コスト」や「時間」を重視するユーザーが多かったが、今回の調査では「安心」と回答した人が最も多く、「3密回避」や「衛生面」などコロナに関連する新しい項目も目立った。

感染防止を最優先に移動手段を選択している人が多かったため、不特定多数の人が乗車する電車やバスを避ける人が少なくなかった。

在宅勤務の浸透で、18年調査時よりも通勤目的の外出は約1割減少した。また、回答者の4分の1が「1年後もリモートワークで通勤は減る」と予想しており、特に10~20代の若年層と東名阪の都市部在住者に顕著だった。

電車での移動が減少する一方で、都市部では自転車と徒歩に切り替える人が多かったほか、クルマ文化が根強い地方の中核都市ではマイカー移動が増加した。

一部では「コロナ禍で自動車の個室空間が見直され、新車需要が上向くのでは」(完成車メーカー幹部)との声もあるが、この調査では「1年後の移動手段」として「マイカー」を希望する人は18年調査より減少した。感染防止の観点から一定の支持を得ているものの、車の購入に無関心な層が回答者の3分の2以上を占めた。

ローンや維持費などのコストも足かせとなっているようだ。ただ、車の非保有者の中には「公共交通機関への抵抗から」購入を検討する人もいたため、新たな顧客層を確保できる可能性を秘める結果になった。

同調査は、緊急事態宣言解除後の6月中旬の3日間にウェブ上で実施した。20代~60歳以上の男女約3千人を対象に行った。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞9月2日掲載