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2020年9月9日

高速道ETC専用化 国交省部会で地方自治体から歓迎の声

国土交通省が検討を進めている高速道路料金所のETC(自動料金収受システム)専用化について、地方から歓迎する声が上がっている。国交省が開いた社会資本整備審議会の道路分科会国土幹線道路部会に出席した全国知事会の会長も務める徳島県の飯泉嘉門知事は感染症対策の観点からも「料金所の完全無人化を強力に推進すべき」と訴えた。

高速道路は災害発生時に重要なライフラインになる。新型コロナウイルスで新たなリスクとして顕在化した感染症にも強い道路網の構築に向け、国交省は検討を急ぐ方針だ。

ウィズ・コロナ、ポスト・コロナ時代を見据え飯泉知事は「料金所で人がお金をやり取りするのはこれから難しくなる」と指摘する。すでに、全国の中では料金所の収受員が新型コロナに感染したことで、車両の通行に支障が生じかねないケースも報告されている。

高速道路がETC専用になれば人と人の接触が抑えられ、感染リスクを大幅に下げる効果が期待できる。

飯泉知事はETCカードとマイナンバーカードの連携も提案する。同カードは来春に健康保険証としても利用できるようになるが、こうしたワンカード化の取り組みにもETCを含めることで利便性を高めて、ETC普及を後押しする狙い。

同部会に参加していた宮城県の村井嘉浩知事も車載器の購入助成など非ETC車対策推進を訴えている。

首都圏でもETC専用化を求める動きが加速している。東京都の小池百合子知事は南関東の1都3県と政令指定都市のトップを代表し、首都高速道路のETC利用率を100%に引き上げるなど、完全ETC化を見据えた取り組みを赤羽一嘉国土交通相に要望している。

自治体トップが高速道路の機能維持を重要視する背景には、「高速道路は命の道」(飯泉知事)との思いがあるためだ。有事の際、高速道路は人や物資など緊急輸送の重要な要となる。

村井知事も東日本大震災を振り返り、「沿岸を走る三陸道がなければ、もっと多くの人が犠牲になったはず」と言い切る。頻発する自然災害や感染症などの想定外のリスクにも的確に対応できる基盤を構築するためにも、高速道でも「ニューノーマル(新常態)」を目指す動きが本格化しそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞9月4日掲載