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2020年9月4日

盛り上がるコンパクトSUV市場 新型車で混戦拍車

国内のコンパクトSUV市場が盛り上がりを見せている。新型コロナウイルスの影響で登録車市場が低迷する中、SUV販売は6、7月と2カ月連続で前年超えを記録。8月にはトヨタ自動車から〝真打ち〟の「ヤリスクロス」が登場し、ますますの市場拡大が見込まれる。

各社は成長市場の需要を獲得しようと強みを持つパワートレインや価格設定でそれぞれに個性を打ち出すが、ヤリスクロスが新たに参戦することで市場は混戦状態となりそうだ。

日本自動車販売協会連合会(自販連、加藤和夫会長)によると、1~6月の登録車販売が前年同期比19・3%減だったのに対し、SUVは同4・5%増とプラスを維持した。直近の7月実績では、登録車全体が前年同月比20・4%減だった一方で、SUVは同25・5%増と飛躍的に台数を伸ばした。

SUV市場のけん引役となっているのがトヨタ「ライズ」とダイハツ工業「ロッキー」だ。ダイハツが生産し、トヨタにOEM供給するライズは、昨年11月の市場投入以降、車名別ランキングで上位につけ、1~6月累計では首位に。瞬く間にコンパクトSUV市場のトップランナーに上り詰めた。

そもそも同市場は日産自動車「ジューク」やホンダ「ヴェゼル」、マツダ「CX―3」が先駆者として市場を開拓してきたが、トヨタが「C―HR」を投入してからは、ヴェゼルとC―HRが需要を二分する構図が続いていた。先行する2車に比べてコンパクトかつ低価格帯のライズが登場し、状況は大きく変化した。

ジュークで市場を先取りしすぎて商機を逃した日産は、6月に「キックス」を投入して巻き返しを図る。独自のハイブリッド技術「eパワー」専用車とし、先進運転支援技術「プロパイロット」も標準装備する、実質ワングレード戦略で勝負に出た。マツダも「CX―30」に次世代ガソリンエンジン「スカイアクティブX」を搭載し、他社との差別化を図る。

トヨタはヤリスクロスの投入でさらに攻勢をかける。同車はC―HRとライズの間を埋める車格と価格設定となる。3車種のラインアップで隈なく需要を獲得できる体制を整え、ライバル社の追随を許さない構えだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞8月31日掲載