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自動車産業インフォメーション

2020年9月3日

19年度のリサイクル状況 HV使用済み車両、引き取り拡大

自動車リサイクル促進センター(JARC、中村崇理事長)は8月21日、2019年度の自動車リサイクル実施状況を「自動車リサイクルデータBook2019」にまとめ発表した。その中で、ハイブリッド車(HV)とプラグインハイブリッド車(PHV)の使用済み自動車(ELV)の引き取り台数が徐々に上昇していることが分かった。

国土交通省と経済産業省では25年以降、HVのELVの排出量の急拡大を想定している。HVに搭載される駆動用バッテリーのリサイクルや適正な処理に向けた体制の拡充が必要となる。

今回の調査では、自動車メーカーからの情報を元に、エンジンと電気モーターの2つの動力源を併せ持つHVと、家庭用電源エネルギーなどから充電可能で電気自動車(EV)としても使用できるPHVを対象にELVの引き取りや預託を調査した。

ELVの引き取りにおけるHV、PHVの状況は、10年度に5391台で全体の0・15%とわずかだったが、19年度は1・33%と増加した。最新のデータでは、自動車の平均使用年数は15・6年となっており、HVが普及し始めた2000年代の車両がELVとなり、25年以降に発生件数のさらなる拡大が予測される。

ELVの発生の指標となる預託登録のデータを見ると、19年度のHV、PHVの新車販売時の預託台数は登録車が約92万台、軽自動車が約31万台で、全体の24・4%を占め、近年の預託台数は、90万~100万台となっている。

その推移は、10年度は登録車のみで約45万台が預託され、全体の9・8%を占めた。当時はトヨタ自動車「プリウス」やホンダ「インサイト」がフルモデルチェンジした。加えて、一定の条件に適応したモデルへのエコカー補助金の交付などがHVの普及を後押しした。

11年度には約64万台で全体の13・5%に急拡大している。その後、14年度に登録車の預託台数は前年比で4%減少したものの、軽自動車で約5万9千台の預託金が発生し、軽自動車の預託台数は18年度まで右肩上がりで成長し、19年度は前年度比6・9%減だった。

HVの普及に伴い日本自動車工業会(自工会、豊田章男会長)では、駆動用バッテリーの回収システムを構築している。自工会の発表によると、19年度はリチウムイオンバッテリー(LIB)を約3千個、ニッケル水素電池を約6千700個回収した。

ニッケル電池が高止まりで推移する一方、LIBは16年度比で5倍ほどに拡大しており、今後も増加が予想される。日本自動車輸入組合(JAIA、ティル・シェア理事長)では、業界の対応力強化や公平な取り組みを実現するため、回収システムへの協力を検討する。担当者は「20年度中に参画する企業もあるのではないか」とコメントしている。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞8月31日掲載