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自動車産業インフォメーション

2020年8月25日

自動車メーカーの研究開発費 厳しい業績下でも高水準続く

自動車メーカーの研究開発費が2020年度も依然として高水準で推移しそうだ。コロナ禍で経営環境が悪化するものの、通期予想を公表していないスズキを除く乗用車上場6社の合計は、前年度比0・9%減と微減にとどまる見通しだ。

トヨタ自動車は1兆1千億円と前年同等水準を維持するほか、ホンダは過去最高額となる費用を投じる。各社ともに自動化や電動化などの領域を中心に将来を見据えた成長投資は継続する方針。

20年度の売上高通期予想の6社合計は同23・0%減の51兆8300億円。これに対し、研究開発費はほぼ同等の水準を維持する。売上高に占める研究開発費の比率は同1・2㌽増の5・5%に上昇する。

前年を上回る計画を示したのがホンダだ。他の5社は減らす見通しだが、同社だけは同4・7%増の8600億円とさらに上積みする。

ホンダの研究開発費の比率は従来から5%前後と他社よりも高く、四輪車事業の収益性悪化の一因となっていたため、昨年11月の決算会見で倉石誠司副社長は「開発費が非常に多い。正常化していきたい」と述べていた。

それでも今回、「将来の成長に向けた仕込みは粛々と進める」(倉石副社長)と開発費を積み増すのは、次世代車やサービスの競争激化に対する危機感が強いためだ。

スバルは「各部門で不要不急なものを精査した」(岡田稔明最高財務責任者)と同15・8%減と大幅に絞り込むが、「将来の競争力につながる投資は削れない」(同)と中長期を見据えた投資は継続する。

構造改革を進める日産自動車と三菱自動車も研究開発費を絞るが、売上高が大幅に減少するため、一時的に開発費が従来以上に業績を圧迫する要因になる。

特に三菱自は収益性改善のために欧州向けの新商品開発を凍結するなどして研究開発費を同12・9%削減するが、売上高研究開発費比率は7・7%にまで高まる。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞8月20日掲載