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2020年8月20日

今秋以降、新型EV発売相次ぐ 先進性、環境性能を前面に

百花繚乱の電気自動車(EV)―。国内外の自動車メーカーが今秋以降、日本市場で新型EVを相次ぎ投入する。EVの先進性や環境性能、走行性能の高さを前面に押し出して、既納客への代替提案や新規顧客の開拓、ブランド力の強化につなげたい考えだ。

販売店においては、新型EVの投入効果による店舗への誘客や既存商品群の販売増といった相乗効果も期待している。

8月現在、日本市場で販売されているEVは、国産車が日産自動車「リーフ」と三菱自動車「i-MiEV(アイ・ミーブ)、輸入車がメルセデス・ベンツ「EQC」、フォルクスワーゲン(VW)「e-ゴルフ」、ジャガー「I-PACE(アイ・ペイス)」、テスラ「モデルS」など車種数はまだ少ない。

2020年1~6月累計のEV販売台数(乗用車)は、前年同期比38.4%減の6755台で、登録車の電動車販売台数に占めるEVの割合は0.6%と僅かだ。販売台数が少ない要因の一つには、ユーザーにとって選べる商品が少なかったことも大きかった。

ただ、今秋以降から一挙にEVの選択肢が広がる。国内外の自動車メーカーが発表済み(8月13日時点)の新型車は、レクサス「UX300e」、日産「アリア」、ホンダ「ホンダe」、マツダ「MX―30」、ポルシェ「タイカン」、プジョー「e208」、アウディ「e-tron(イートロン)スポーツバック」、DSオートモビル「DS3クロスバックE-TENSE(イーテンス)」。

小型車からSUVまでさまざまなジャンルのEVの発売が控えている。

各メーカーの新型EVでは航続距離が従来以上に伸長されている事に加え、充電設備も普及していることから日常での使い勝手に支障はなさそうだ。ただ、EVの拡販のネックとなるのが車両価格の高さだ。クリーンエネルギー自動車(CEV)補助金が適用できるとは言え、価格競争力は他パワートレインのモデルと比べて見劣りしてしまう。

「なぜ、今、EVなのか」。ユーザーに対して、どれだけ説得力ある提案をできるかが拡販のカギとなりそうだ。

EVの魅力としては、移動手段としてのクルマだけでなく、自然災害など非常時に電力を給電できる機能を備えている点だ。ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)も給電機能を備えるが、EVの供給電力量には劣る。

非常時だけでなく、アウトドアなども含めて生活インフラのひとつとして活躍できる要素を備えたのがEVだ。「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)」のフレーズが自動車業界を席捲して久しいが、今年は電動化の波が日本で本格的に具現化する年となりそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞8月15日掲載