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自動車産業インフォメーション

2020年8月17日

自動車メーカーの4~6月期決算 9社が減収、6社が営業赤字

上場する自動車メーカー9社の2020年4~6月期決算が出そろった。新型コロナウイルス感染拡大による世界的な需要減によって全9社が減収、6社が営業赤字となった。5月の決算発表時に7社が発表を見送った通期業績予想についてはスズキを除く6社が今回発表し、その内ホンダとスバル、日野自動車が営業黒字を確保する見通しを示した。

さらに期初に見通しを公表したトヨタ自動車といすゞは足元の販売回復状況を踏まえ、通期台数を上積みした。感染拡大の予測が困難な中でも、各社で強みを持つ地域や事業領域の違いによってコロナ影響度合いの〝濃淡〟が出始めている。

第1四半期はロックダウン(都市封鎖)などの影響が生産活動や販売活動に大きな影響を及ぼし、各社の連結販売台数は半減かそれ以上のマイナスとなった。これに比例し、乗用車メーカー各社の売上高もほぼ半減。三菱自動車の加藤隆雄社長兼CEOは電話会見で「深刻度合いはリーマンの時よりも大きな危機だ」と厳しい認識を示した。

利益への影響はさらに甚大だ。第1四半期として初の最終赤字となったホンダは、1136億円の営業損失に対して「コロナ影響の4400億円、為替影響の108億円を除くと880億円の増益」(倉石誠司副社長)と試算する。

一方、スズキは主力のインド販売が大幅に減少したものの、マリン事業の落ち込みが少なく黒字を確保した。いすゞはアフターサービス売上の比率も高いことから乗用車メーカーに比べコロナ影響は抑え込んだ。また、トヨタは従前から取り組んできた「カイゼン」活動による経営体質強化が進んだことで、結果的にコロナ影響でも黒字を生み出した格好だ。

通期見通しでは、期初に公表したトヨタといすゞを含めホンダ、スバル、日野自動車の5社が黒字予想を示した。コロナ影響の需要予測が難しい中でも、回復基調を鮮明とする中国をはじめ北米や日本の市場動向を踏まえ、各社は期初より確度が高い予測値を基に業績見通しを導き出した。

ホンダの倉石副社長は「中国は前年並み、もしくは超える勢い。米国は8~9割前後、日本も9割くらいに戻ると前提」として、第2四半期以降の挽回を見据える。

今よりコロナの影響度合いが見えなかった期初に「一つの基準を示すことが必要」(豊田章男社長)と通期見通しを出したトヨタは、第1四半期の販売が想定を上回っていることから期初予想に20万台上乗せした。いすゞも同様に台数予想を上方修正したが、両社とも業績予想への反映は見送り慎重な姿勢を示した。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞8月7日掲載