国土交通省は7月31日、内閣府と連携して進めている自治体での自動運転サービスの導入支援事業で7つの地方公共団体の事業を選定したと発表した。

埼玉県和光市では産業集積拠点と鉄道駅を結ぶ新たな公共交通サービスとして、自動運転を活用する計画。石川県小松市では小松空港とJR小松駅を自動運転バスでつなぎ、交通の要衝としての機能を高めて人流の拡大につなげる狙い。

各事業では自動運転技術だけでなく、第5世代移動通信システム(5G)や人工知能(AI)などとリンクさせるものも多く、さまざまな技術の高度化にも弾みがつきそうだ。

今回選定された自動運転の取り組みは、新たな地方創生につなげる内閣府の未来技術社会実装事業の一環で行われる。同事業は今年度12事業を選定したが、半数を超えるプロジェクトで自動運転が関わる取り組みとなっており、地方活性化に自動運転が果たす役割が大きいことを裏付けている。政府は今後3年間、総合的な支援を行う考えだ。

「和光版MaaS(サービスとしてのモビリティ)」を目指す取り組みでは、産業集積地近くの高速道路のパーキングエリア(PA)周辺と、約1・5㌔㍍離れた駅を電気自動車タイプの自動運転車でつなぐ。

専用道を設けるほか、5G通信により車両と信号もきめ細かく制御する。和光市ではPAを拡張して高速バスなどの新たな広域交通のターミナル化も目指す。

また、長崎県対馬市ではAIだけでなく、ロボットや仮想現実などと自動運転の技術を融合させたスマートシティー化で、交通難民の解消に取り組む。

大阪府四條畷市ではキャッシュレス技術なども取り入れ、自動運転による移動手段の確保だけでなく、配送支援なども手がけていくという。このほか、茨城県潮来市と奈良県三郷町、高知県四万十市が掲げた事業で、自動運転サービスの社会実装に取り組んでいく計画だ。