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自動車産業インフォメーション

2020年8月5日

20年度総貨物輸送量見通し6・9%減 日通総研、コロナ影響で

日通総合研究所は、新型コロナウイルス感染拡大による直近の影響を加味した「2020年度の経済と貨物輸送の見通し」の2度目の改訂版を発表した。

これによると、国内貨物輸送の現状と見通しでは、コロナ禍で、20年度の総輸送量は前年度比6・9%減と大幅なマイナスになるとの見方を示した。リーマンショックで大きく落ち込んだ09年度の同6・0%減を上回る落ち幅を予測している。

品種別の輸送量では、生産関連貨物が同9・2%減に落ち込むと予測した。機械機器や化学製品はプラス基調で推移するとみる。一方で、設備投資や輸出の不振を背景に、鉱工業生産・出荷が低迷する中で、生産関連貨物全体では同9・2%減と低迷を想定。

また、新生活様式の定着によりパソコン、エアコンなど家電の一部に特需が発生するも、一般機械、自動車、機械部品、鉄鋼、化学製品、石油製品などが総じて低調に推移すると見ている。

国際貨物輸送に関しては、20年度のコンテナ貨物の輸出は、同6・6%減と2年連続のマイナスになると見込む。品目別では、海外の設備投資の需要回復の勢いが弱く、産業機械、工作機械などの機械類は低調な荷動きが継続し、前年度水準を下回るとする。

海外工場の生産回復の遅れも、押し下げ要因になると予測している。自動車部品については、EV(電気自動車)シフト、電装化関連の中長期的な需要による下支えが期待されるも、世界的な自動車市場の低迷が続き、年度内の回復は見通せないとした。

今後は、米中貿易摩擦の再燃、激化や新型コロナウイルスの再流行により、回復が遅れてマイナス幅が一段と拡大する可能性も否めない。

輸入については、個人消費・設備投資が低調に推移し、同4・8%減とマイナス幅が拡大する見込みだ。生産財についても、設備投資の前年度水準割れが続き、生産用部品・部材類や機械類の荷動きが停滞する。生産拠点の国内回帰や部品・部材類の国内調達増により輸入量の減少が見込まれる。

国際航空貨物では、20年度は同9・0%減と、2年連続のマイナスとなる見込みだ。半導体関連貨物(電子部品・製造装置)については、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、5G(第5世代移動通信システム)関連の需要拡大により、荷動き回復の本格化が見込まれるとした。

自動車部品については、EVシフトや電装化関連の需要が高まるものの、年度内の回復は不透明だとした。

一般機械・機械部品も、海外の設備投資需要の回復が鈍く、期待は薄い。下期には各国の経済回復・旅客便復便の本格化や、コロナショックからの反動増が期待されるものの、上期のマイナスを補いきれず、年度全体では前年度水準割れになると予測した。

輸入についても消費財・生産財ともに荷動きが低迷、同7・2%減とマイナス基調が続く見通しだ。生産財も輸出企業を中心に設備投資の回復が鈍く、前年度水準を下回る。下期のマイナス幅は上期から縮小するとしているが、年度全体では3年連続の前年度水準割れになる見込みだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞7月27日掲載