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2020年8月4日

中型自動運転バスの実証実験スタート 年度末にかけ全国5カ所

中型の自動運転バスを使用した実証実験が相次いでスタートしている。7月12日には滋賀県大津市と京阪バスが琵琶湖周辺で運行を開始。7月20日は兵庫県三田市で神姫バスが郊外住宅地を周回するルートで無料運行を始めた。

今回の実証実験は2016年度から実施している経済産業省と国土交通省の共同事業によるもので、20年度末にかけて、さらに3つの地域で実証運行を行う計画だ。全国5カ所での実験を通じて、それぞれ異なる地域特性や環境でさまざまなノウハウを積み重ねていく。これを生かして自動運転バスの技術向上や新たな公共交通サービスの具現化を早める狙い。

今回の実証実験では産業技術総合研究所(石村和彦理事長)が開発した自動運転バスを用いる。いすゞ自動車の「エルガミオ」をベースに改造したもので、LiDAR(レーザースキャナー)やミリ波レーダー、磁気センサーなどで周囲の状況を検知しながら自動で走行する。自動運転バスの定員は最大56人で、最高時速は50㌔㍍となっている。

今年度第1弾となる大津市での実証実験は、JR大津駅から琵琶湖周辺の施設やホテルを巡る約4㌔㍍のルートで運行している。1日10往復する計画で、通常の路線バスと同様に一般ユーザーも運賃を支払えば自動運転バスに乗車できる。ここでは都市拠点における新たな交通軸として自動運転バスの可能性を探る考えで、9月27日までの運行を予定している。

第2弾となる神姫バスでは、三田市の新興住宅地「ウッディタウン」で運行を始めた。ウッディタウン中央駅を基点に住宅地内の約6㌔㍍の区間を1日6回、無料巡回する計画。8月23日まで運行予定で、新たな地域内交通の確保が生活の質の向上につながるか検証する。

また、9月上旬から11月下旬にかけては福岡県の北九州市と苅田町で、西日本バスが北九州空港と最寄駅を結ぶ路線で実証実験する。10月上旬からは茨城県日立市において、茨城交通がバス高速輸送システム(BRT)に用いる。

12月上旬には神奈川県横浜市で、神奈川中央交通が丘陵地にある住宅地での自動運転バスの運行をスタートする計画だ。

政府は20年までの限定地域における無人自動運転移動サービスの実現を目標としている。今回、5つの地域と事業者におけるさまざまなシチュエーションで実際に自動運転バスを走らせることで幅広いデータを収集していく。

政府は技術の高度化だけでなく、地方における移動手段の確保や慢性的なバス運転手不足といった社会問題解決にも役立てていきたい考えだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞7月29日掲載