自動車整備機械工具の売り上げが堅調に伸びている。日本自動車機械工具協会(機工協、柳田昌宏会長)が発表した2019年度の「自動車機械工具販売実績」によると、会員各社の機械工具販売における総売り上げは、前年度比2・1%増の1111億7105万9千円だった。

1千億円を超えたのは7年連続で、前年度実績を上回ったのは5年連続となった。安定した整備需要による整備機器の更新や新規の販売増が貢献した。4月の道路運送車両法の改正で「特定整備」制度が導入されたことに伴い、法施行をにらんだ関連機器の売り上げ増も寄与した。カテゴリー別の売り上げも5項目が過去15年間で最高金額を記録した。

19年度の自動車機械工具販売実績の内訳は、輸入品が同6・8%減の43億519万4千円、輸出品が同27・7%増の37億4058万1千円、国産品が同1・7%増の1031億2528万4千円だった。実績の大半を占める国産品は8年連続で前年度実績を上回った。

19項目のカテゴリーのうち、15項目が実績を伸ばした。金額規模の大きい「リフト・ジャッキ・プレス」「車検機器」「洗車洗浄装置」「ハンドツール」などが前年度実績を上回ったことも奏功した。

リフト・ジャッキ・プレスをはじめ「洗車洗浄装置」「エアーコンプレッサー」「バッテリー・クーラーサービス機器」「各種システム」が過去15年間で最高金額だった。

カテゴリー別ではリフト・ジャッキ・プレスが同0・3%増の194億3671万6千円で、全体の17・5%を占めた。車検機器は同1・1%増の109億1712万8千円で、コンピューター車検システムや大型車対応測定器、車検場仕様の排気ガステスタなどの売り上げが好調だった。

伸び率が大きかったのは、各種システムで同38・3%増の7億9320万5千円。特定整備の制度開始に伴い、新たにエーミング(機能調整)などを行う認証資格「電子制御装置整備」制度が創設されたことで、関連機器の売り上げが伸長した。「塗装機器」は同29・7%増の15億2954万9千円で、水性塗料対応機器が好調だった。

「バッテリー・クーラーサービス機器」は同26・7%増の33億733万3千円で、新ガス「R-1234yf」対応機器の売り上げが好調だった。「環境整備機器」は同23・6%増の10億6259万2千円で、職場環境改善に向けた冷暖房装置への引き合いが活発だった。

機工協によると、19年度の実績に新型コロナウイルスの影響は概ね現れていないとした。20年度以降は「顧客の投資意欲や営業環境に大きな影響があると推測され、先行きが懸念される」としている。