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自動車産業インフォメーション

2020年7月29日

4~6月のカー用品売り上げ コロナで1割減、APARA調査

自動車用品小売業協会(APARA、小林喜夫巳会長)が公表した2020年4~6月の用品小売り4社の売上高合計は845億5122万円となり、既存店ベースで前年の同じ時期よりも9・1%のマイナスとなった。

新型コロナウイルス感染症の拡大や緊急事態宣言発令の影響で経済が冷え込み、カー用品業界にも大きな影響を与えた未曽有の四半期だったが、足元では6月の売上高が前年対比でプラスに転じるなど、明るい兆しも見え始めつつある。

4~6月累計では売上高のほか、客数や客単価などほとんどの項目で前年同時期よりも低い水準となった。消費税増税前の需要増で好調だった前年の特殊事情を差し引いても、苦境にあえいだ小売り現場の実態が鮮明になった格好だ。

商品種別で特に落ち込みが大きかったのが、カーナビゲーション(既存店前年同期比31・3%減)やカーエレクトロニクス(同21・5%減)だ。車両購入に合わせて購入されることの多いこれらの商品は、新車・中古車の販売不振を色濃く反映した。

加えて、都道府県をまたいだ人の移動自粛が要請され、書き入れ時となる大型連休期のロングドライブ需要を逸するなどの影響もあり、打撃は深刻だった。車両稼働量の減少による影響は他にもタイヤ・ホイール(同12・7%減)やオイル(同7・1%減)など、さまざまな商品に及んでいる。

半面、売り上げがプラスとなったのがバッテリー(同13・8%増)だ。数年前に販売好調だった新車のバッテリー交換時期が到来して底堅い需要を得ただけでなく、車両稼働量の減少がバッテリー上がりを招いたことによる需要も発生した。

バッテリーは単価も比較的高く、コロナ禍に苦しんだ小売り現場にとっては支えとなったが、「需要の前借りになっているのではないか」(バッテリー製造メーカーの担当者)と慎重な声もある。同じく売り上げを伸ばしたケミカル(同9・2%増)は、在宅時間の増加に伴う自家洗車・補修用品の需要増を反映した。

「今まで自身で施工したことのなかったユーザーが初めて挑戦したケースも多い。こうした経験が再購入につながるのでは」(補修用ケミカルを製造するメーカーの幹部)と、こちらは市場の持続的な成長に期待が集まっている。

コロナ禍で変化したユーザーの消費性向が各種商品の好不調に表れた4~6月期だが、各月の売上高は4月が既存店ベースで前年同月比18・7%減となったものの、5月は同7・5%減とマイナス幅を縮め、6月は同1・5%増とプラスに転じた。

それまでの販売不振を受けた反動増という側面はあるが、客数・客単価なども前年と同水準まで持ち直すなど、市場が回復しつつあることは確かだ。

こうした流れを断ち切らないためにも、新型コロナ感染再拡大阻止は喫緊の課題だ。店舗の消毒や飛沫の遮蔽はもちろんのこと、入庫予約の徹底や店舗・イベント会場の入場数制限など、小売り各社は細心の注意を払って感染防止策に取り組んでいる。

19年4月~20年3月の市場規模が4千億円を超えるなど、自動車業界だけでなく経済全体を支えるカー用品業界の巻き返しに、期待がかかる。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞7月25日掲載