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2020年7月27日

東京五輪まで1年 自動車業界、次世代技術の発信継続

当初は22日に始まる予定だった東京五輪2020大会が延期となった影響で自動車業界も対応を迫られた。自動車技術を世界に発信する絶好の機会と捉え、五輪に照準を合わせたイベントが企画されたが、その多くが中止を余儀なくされた。

一方、コロナ禍の影響を踏まえ、内容を見直した上で当初の予定を可能な限り遂行しようとする例もある。東京五輪には再延期や中止などの選択肢が残るものの、現時点で開催が予定される来夏に向けて次世代技術の発信や開発を加速させる。

東京五輪は当初、24日の開会式に先立って一部競技を22日に開催する予定だった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、開催を延期することが3月24日に決まった。

東京五輪に合わせて自動車業界が政府とともに進めてきた大型プロジェクトが自動運転の公開実証や一般向け試乗会だ。

当初は日本自動車工業会主催で7月6~12日までの7日間、羽田空港周辺や臨海副都心地域を舞台に自動運転の公開実証や試乗会を開く予定だった。

この予定は延期となったが、政府は2020年の自動運転実用化という目標は変えない考えだ。

内閣府主導の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)は、国内外の自動車メーカーやサプライヤーなどが参加する東京臨海実証を続けており、自動運転の協調領域の研究開発を推進する。

また、当面大規模なイベントの実施には慎重な判断が必要となる一方、ウェブサイト「SIPカフェ」などを使った情報発信を強化し「年内にかけて、バーチャルに軸足を置いて活動していく」(SIP関係者)という。

日産自動車は情報発信拠点「ニッサンパビリオン」(横浜市西区)を8月1日に期間限定でオープンする。

当初見込んでいた東京五輪で増加する来日外国人へのPR効果は限定的になるが、15日に発表した新型クロスオーバー電気自動車「アリア」の乗車体験のほか、先進技術を体感できる設備などを用意。自動化や電動化といった次世代技術の発信にフル活用する。

新型コロナウイルスの感染者数は多くの国で依然として増加しており、東京都でも1日100人以上の新規感染者が確認される状態が続く。来年7月に東京五輪を開催できるかどうかは不透明だが、仮に開催できるのであれば残る時間はあと1年。

コロナ禍で自動車のニーズが変化するといわれる中、業界が五輪で何を発信するか。当初の計画を練り直していく必要がありそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞7月22日掲載