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自動車産業インフォメーション

2020年7月13日

「20年版通商白書」 多様な観点で強靱な供給網を

新型コロナウイルスの感染拡大がグローバルで広がりを見せる中、世界経済にも多大な影響が及んでいる。経済産業省が公表した「2020年版通商白書」でも、大恐慌以来の経済危機に直面している状況を指摘。

これまで日本経済をけん引してきた自動車産業でも世界の市場で需要が蒸発していると、厳しい現状を分析する。新型コロナによって、世界は経済だけでなく、社会構造のあり方さえも変革に迫られている。

こうした中で、今白書では国際協調をベースとしつつ、危機に柔軟に対応できる強靭な経済社会システムを築き、持続可能な経済発展につなげていく必要性を訴えている。

最新版の通商白書は、そのほとんどが新型コロナをテーマにした内容で構成されている。日本の通商政策においても、コロナ禍の影響度が大きいことが裏付けられる。

新型コロナによって対面によるコミュニケーションが制限される中、人や物、資金の移動が滞っている。サプライチェーンの寸断といった供給面だけでなく、需要も含めたショックが併発した状況であり、伝統的な経済対策では危機克服が難しいと指摘している。

この未曾有の危機を乗り越えるため、新型コロナ危機を日本自体の変革につなげる必要があると訴えている。これまで日本の強みでもあった経済効率を重視したサプライチェーンは、特定の国への依存度が高まることにつながっていた。

これがコロナ禍により世界が分断される中、新たな調達リスクとして浮き彫りになった。今後起こりうる危機にも対応できるよう、多様な観点で強靭な供給網を構築していく必要があるとしている。

一方で、新型コロナをきっかけに、デジタル化の流れが加速するなど日本の変革にとって追い風となっている部分も少なくないと指摘。

新型コロナ危機で明らかになった弱点を早期に克服するだけでなく、これからの時代を先取りするような進化を日本全体が急いでいくことで、世界をリードしていく考えだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞7月10日掲載