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2020年7月8日

国交省、高速道路のETC専用化検討 料金収受でコロナ防止

国土交通省は、高速道路の料金所をETC専用とすることについて検討に着手した。赤羽一嘉国土交通相は3日に開いた閣議後会見で、料金所で人による通行料金の受け渡しをなくすことにより、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ狙いなどについて述べた。

赤羽国交相の諮問機関である社会資本整備審議会の道路分科会・国土幹線道路部会で実現に向けた具体策を詰めていく。赤羽国交相は「(ETC)カードの非保持者への対応も重要な論点になる」との見解を示しており、同部会で「必要な検討を進めていくことになる」とした。

赤羽国交相は、実現に向けた具体的な時期などの目標については明かさなかった。しかし、ETC専用化の検討は「新型コロナに対応した高速道路施策の議論」の一環に位置付けており、感染抑制の効果を高めるためにも早急に方向性をまとめていくとみられる。

赤羽国交相は新型コロナによって変革が求められる「新しい生活様式の観点からも(同部会で)議論をいただいている」と述べた。

国交省がこのタイミングで、高速道路のETC専用化を急ぐ背景には、交通や物流のインフラの安定化につなげる狙いもあるとみられる。人やモノの移動を支える高速道路は、有事の際にも生命や社会基盤を守る生命線の一つとなる。

災害などで機能を失えば、悪影響が大きくなるのは間違いない。事実、今般の新型コロナでも「(料金所の)収受員の感染により、支障が生じたケースがあった」と、赤羽国交相は危機感を強める。この際も「一部の料金所をETC専用として運用した」(同)ことで道路機能の維持を図った。こうした実績も踏まえて議論を重ねていく方針だ。

現在、高速道路を利用する車両の約93%がETCを使用しており、専用化もほとんどのユーザーに受け入れられる可能性は高い。一方で、高速道路の利用頻度が少ない車両では、そもそも車載器を搭載していないケースもある。より多くのユーザーや車両の移動の自由を担保する上でも、ETC非対応車への支援策も必要となりそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞7月4日掲載