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自動車産業インフォメーション

2020年7月7日

経産省、サイバー攻撃へ耐性強化 コンソーシアム立ち上げ

経済産業省は、日本企業でも被害が相次いでいるサイバー攻撃に対し、全産業を横断した新たなコンソーシアムの立ち上げに乗り出す。

大企業と中小企業が連携してセキュリティー対策を推進できる場とすることで、サプライチェーン全体でサイバー攻撃に対する耐性の強化を図る狙い。

また、中小企業のセキュリティー支援サービスで、一定の水準を満たした事業者を認定する制度の導入も検討していく。

サイバー攻撃は高度化が進んでおり、ホンダが生産拠点で一時操業休止に追い込まれるなど被害も拡大する傾向にある。産業界全体の課題として取り組むことで、実効性を高めたい考えだ。

「サプライチェーン・サイバーセキュリティ・コンソーシアム」の新設案は、経産省が有識者で構成する「産業サイバーセキュリティ研究会」で示された。主要な経済団体に加え、個別の産業団体にも参加を呼びかけていく。

それぞれの団体では独自でサイバーセキュリティー対策に取り組んでいるところも少なくない。こうした活動や成果を広く共有できる場として、コンソーシアムを役立てていく。年1回程度で総会を開き、共通のメッセージの発信も行っていきたい方針だ。

また、経産省が昨年から行っている「中小企業向けサイバーセキュリティ事後対応支援実証事業(サイバーセキュリティお助け隊)」も、被害を未然に防ぐなど効果を上げている。

今後、民間での事業化を見据え、一定の品質を満たす事業者をコンソーシアムが審査して認定する仕組みも検討する。認定制度により、中小企業のサービス選定をサポートするほか、認定企業との契約で取引先との信頼関係の強化も後押しする効果も狙う。

経産省が中小を含めた産業界全体での対策を急ぐ背景には、サイバー攻撃の種類や頻度が増加し、複雑化している実態がある。

さらに、自動車関連産業をはじめサプライチェーンが広範囲となっており、構成する1社でも破られれば情報流出などの懸念が一気に世界全体に広がるリスクも抱える。

このため、産業界共通の課題としてセキュリティー対策のレベルを引き上げるとともに、単独では充実した対応が取りにくい中小企業も守る必要があると判断した。こうした取り組みを推進することで、サイバー攻撃に対する日本全体のリスク軽減につなげる。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞7月2日掲載