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自動車産業インフォメーション

2020年7月1日

大型車メーカー各社 移動と観光支えるバス事業者支援

大型車メーカーは新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、複数の乗客が乗り合うバス車内の感染拡大抑止策や輸送事業者に対する支援策を打ち出している。

日野自動車といすゞ自動車は路線バス向けに、運転席と乗車空間を仕切るシートで飛沫感染を防ぐキットを発売した。三菱ふそうトラック・バスでは、車両保証期間の延長や観光バスに備える換気性能の周知に取り組んでいる。

地域の移動や観光業を支えるバスの感染防止対策を強化し、コロナ禍での公共交通機関の安全な運行を支える。

感染拡大を防ぐ水際対策の強化で訪日旅行客が減り、日本政府観光局が発表した5月の訪日外国人旅行者数は前年同月比99・9%減だった。国内旅行者についても第2波への警戒などから動きが減速している。

こうした状況から、旅行客が移動に使う観光バスのニーズが低下している。また、観光バスほどの影響はないと見られる路線バスでも、乗客が安心して移動できる工夫が求められていることから、大型車メーカーは感染拡大防止策を積極的に強化している。

日野といすゞは、路線バス向けの感染対策商品を系列ディーラーで発売した。取り付けキットを使い運転席と座席の間に透明シートを設置して飛沫感染を防ぐ。既販車両にも取り付けることができ、多くの事業者が設置しやすいよう工夫した。

また、日野は、観光バスの対策として車両に備える外気を取り入れる換気性能の活用を呼びかけている。大型観光バス「セレガ」は屋根の上のエアコンから新鮮な空気を取り入れることにより5分程度で車内の空気を入れ替えることが可能だという。

一方、三菱ふそうでは、同社製の車両を使う国内の輸送事業者に対し、車両保証期限が4月1日から5月31日までに満了になる車両に対し、期限を一律で2カ月延長するプログラムを導入。新型コロナの影響で入庫を先送りする事業者に対応する。

車両側の対策としては、観光・高速路線バス室内の密閉を防止するため、大型観光バス「エアロクイーン・エアロエース」や大型路線バス「エアロスター」など同社製バスの換気性能を周知している。

このほかにも、座席同士の空間を空けるなどさまざまなアイデアを出して効果を評価しているという。

三菱ふそうのハートムット・シック社長は、欧州で徐々に観光需要が戻りつつあることなどを踏まえ、世界の経済活動は「来年ごろには通常レベルに戻る可能性がある」と予想する。輸送事業者への継続的なサポートを通じて、経済活動を下支えする。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞6月27日掲載