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2020年6月30日

カー用品に復調の兆し APARA、5月の小売り4社売上統計

カー用品業界に復調の兆しが見え始めている。自動車用品小売業協会(APARA、小林喜夫巳会長)がまとめた5月のカー用品売り上げ統計によると、小売り4社の売上高の合計は既存店ベースで前年同月比7・5%減の270億7459万円で、前月の18・7%減と比べるとマイナス幅が大幅に縮小した。

緊急事態宣言や県をまたいだ移動自粛が解除され、今後は客足や需要の本格回復が期待されるところだが、依然として新車販売が伸び悩んでいることや夏商戦に影響が及んでいることから予断を許さない状況は続く。

APARAによると、小売り4社の売上高の合計は、8カ月連続で前年を下回った。消費税増税や季節用品の低迷に新型コロナの影響が追い打ちをかけた格好だ。苦境が続く中でも、5月は好調だったのがケミカル分野だ。天候にも恵まれ、巣ごもり期間中に洗車・補修を行う人が増えたことで、売り上げは前年同月比18・8%増を記録した。

バッテリーも同17・4%増と大幅な伸びを見せたが、これは3年前に販売好調だった新車の交換需要に支えられた形だ。除菌・抗菌などウイルス対策関連商材も好調だった。インテリア関連では、高単価ハンドルカバーや抗菌タイプシートカバーの販売が急増した。

一方で、落ち込みが大きかった分野がカーナビゲーション(同32・7%減)やカーエレクトロニクス(同27・5%減)だ。

都道府県をまたいだ移動の自粛が要請されるなど、人々の移動機会が縮小し、大型連休期間中のロングドライブ需要も逸したことが響いた。両商品は、車両購入と同時に買い求められるケースも多いだけに、新車販売台数の低迷もマイナス要因となった。

コロナ禍は夏商戦の戦略にも影響を及ぼしている。オートバックスの関係者は「(学校の)夏休みの短縮が見込まれ、都道府県をまたいだ移動が元通りの水準に回復するかは不透明。今夏の行楽モデルは新たな時代の『安・近・短(安心・近い・短い)』が一つのテーマではないか」と話す。

オートキャンプ場などのレジャー施設でも多くが入場制限などを表明していることから、行楽製品の販売は手探りだ。一方、公共交通機関を避けた移動手段のニーズは高いことから、座面用の高機能クッションなど車内の快適性を高めるグッズに商機があるとみる。

ウィズコロナ/アフターコロナを見据えた企業活動のあり方も各社で模索が続く。オートバックスセブンは、本社業務を原則リモートワークに切り替え、緊急事態宣言解除後も不要不急の出社を控える取り組みを続けている。

オートバックスの店舗では飛沫を防ぐ遮蔽板の設置や手指の消毒、ソーシャルディスタンスの徹底などが定着しつつある。混雑が予想される週末は入店制限を設ける店舗もあり、顧客や従業員の感染リスク抑止を最優先とした営業体制を維持する。

その一方で、「販売部門を縮小することがあってもメンテナンス部門は死守する」(同社関係者)との考えを示す。感染拡大の第2波、第3波も懸念される中、新型コロナ対策に気を緩めることなく、カー用品各社は需要喚起と業績回復に向けて再始動する。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞6月23日掲載