2020年7月1日
国土交通白書、自動運転など新技術活用 地域移動手段の確保に注力
2001年1月の中央省庁再編で誕生した国土交通省は、今年度中に20周年を迎える。大きな節目となるタイミングを機に、政府が6月26日に閣議決定した「国土交通白書」でも「社会と暮らしのデザイン改革~国土交通省20年目の挑戦~」をテーマに設定。次代の国土交通行政の方向性を示した。
赤羽一嘉国土交通相は「地域の移動手段の確保の取り組みなどを展望した」としており、今後、さらに深刻化していく少子高齢化や地域交通の衰退を受けた対策に力を注ぐ方針。この一つとして、自動運転車の安全基準の策定や国際標準化に力を注ぎ、技術進化を日本がリードしていく計画だ。
白書では、人口減少に伴う輸送人員の減少で、交通事業者の経営環境が厳しくなっていると指摘。高齢化によってクルマが運転できなくなることから移動の困難さに不安を抱える国民が、特に公共交通機関の選択の幅が少ない地方部では多い現状もある。
このため、自動運転をはじめとする新技術の活用に加え、地域を越えた連携などによる持続可能な地域公共交通の実現を目指す。同時に、コンパクトな街づくりと一体になった効率的な移動手段の提供に取り組む必要があるとしている。
また、MaaS(サービスとしてのモビリティ)の市場規模が50年に世界で900兆円に及ぶと想定。日本国内でも30年に、20年予測値の30倍以上となる約6兆円に達すると指摘している。
一方、足元の新型コロナウイルス感染症への国土交通分野の影響や対応も特集としてまとめた。5月までのデータをもとに、バスやタクシーなどの事業者が経営に大打撃を受けている現状を報告。国交省として、感染拡大の防止と社会経済活動の両立の実現を目指す今後の対応策も示している。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
---|---|
対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞6月27日掲載