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自動車産業インフォメーション

2020年6月26日

コネクテッド技術でSOS 「安全見守り」世界で普及着々

乗員の安全を見守るコネクテッド技術の普及が進んでいる。車載通信機(DCM)やスマートフォン(スマホ)連携型の採用数はそれぞれ世界で2千万台近くに迫る。デバイスを介して車が外部と常時接続することで、事故が発生した際にも早期に通報して救命率を高めることができる。

日本では、コネクテッド技術の採用車種の拡充に加え、2020年1月から新型車への緊急通報システムの保安基準も適用され、今後も通信技術を活用したサービスは広がりそうだ。

調査会社の富士経済(清口正夫社長)がまとめたつながる車の世界市場調査によると、19年の世界のコネクテッドカー販売台数(乗用・商用車)は前年比17・7%増の3120万台で、このうち日本は340万台だった。35年には19年比で3倍の9420万台に拡大すると予想する。

通信形態別で見ると、DCMのような「車載セルラー」を採用した車が多く、19年は1890万台だった。次いでスマホを介して通信するといった「モバイル連携」タイプは1730万台で、通信技術に対応した車両の販売台数が伸びている。

コネクテッド技術の用途は、車内のエンターテインメントに加え、自動車の安全機能の拡充へと広がる。体調が急変した際や事故発生時の緊急通報システムとしての役割を果たす。

事故自動緊急通報装置は、事故が発生してエアバッグが展開すると自動的にコールセンターへ通報するシステム。17年11月に国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)で策定・成立した。

乗車定員9人以下の乗用車と車両総重量3・5㌧以下の貨物自動車を対象に、自動・手動通報機能を備えることや音声通話ができること、事故発生の位置情報を発信することなどが定められている。

これを受け、18年に国土交通省は道路運送車両法に基づく保安基準を改正し、「事故自動緊急通報装置」の国際基準を国内に導入することを決定。新型車は20年1月から、継続生産車は21年7月から適用対象となる。

日本では、自動車メーカー各社がコネクテッド技術を活用した安全サポートサービスの導入を進めている。トヨタ自動車は18年6月に投入した「クラウン」と「カローラスポーツ」以降のほとんどの新型車にDCMを標準装備し、事故時に自動でオペレーターに接続する「ヘルプネット」などのサービスを提供している。

日産自動車は、エアバッグの展開と連動して自動通報する「SOSコール」を軽自動車「デイズ」「ルークス」に設定し、有事の際の専門のオペレーターが警察や消防への連携をサポートする。

ダイハツ工業は、スマホ連携型の「ダイハツコネクト」により、事故を検知すると素早くオペレーターへとつなぐ。また新型「タフト」では電動パーキングブレーキによる緊急停止を感知して自動通知する。

 

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞6月20日掲載