2020年6月24日
カーナビ、市場回復は年末以降 新型コロナで生産調整
新型コロナウイルスの感染拡大による影響がカーナビ市場にも及んでいる。自動車メーカーの生産調整に伴う新車装着向けが落ち込むほか、市販用も消費税増税による需要低迷が響いている状況だ。
ナビメーカー各社は、生産拠点の稼働調整で需要減に対応するが、本格的な市場回復は年末以降になると見通すメーカーもあるなど、先行きに対する不透明感は拭えない。一方、保有車両をターゲットにする市販市場向けは「急減することはない」と期待を寄せる声もある。
「4月以降、一時的に販売影響を受けた」(アルプスアルパイン)、「4、5月は減少した」(パイオニア)、「第1四半期の新車販売が大きく落ち込んだ」(パナソニック)…。2020年度第1四半期の販売戦線は、各社が厳しい状況を強いられている。
カーナビ販売の下振れ要因となっているのがコロナ禍だ。新車装着向けは自動車メーカーの生産調整が大きく影響。新車需要の「蒸発」も生産減少に追い打ちをかけている状況だ。5月の国内新車販売台数は前年同月比44・9%減。新型コロナウイルスのまん延による新車市場への影響が増している。
市販ナビについても厳しい状況が続く。自動車用品小売業協会(APARA)がまとめた20年5月売上高統計によると「カーエレクトロニクス部門は車両販売不振の影響が大きい」。前年同月比27・2%減で推移し、カーナビ、ポータブルナビ、ドライブレコーダーともに大幅な前年割れとなった。
こうした状況を受け、カーナビメーカー各社は生産調整に入っている。アルプスアルパインは「新車販売の減少、各自動車メーカーの新車生産調整の影響から、カーナビ生産の稼働率を落としている」、パイオニアも「生産調整中」の状況だ。自動車メーカーの本格的な生産再開が見通せない中で、需要減に柔軟に対応する。
今後の市場回復については各社で見通しが分かれる。パイオニアは「自動車メーカーの予測と同じく本格的な回復は年末以降と見ているが、コロナ第2波の可能性などもあり、予断を許さない状況」と指摘。
一方、パナソニックは足元の新車市況は厳しいとの見方を示しながらも「悲観はしていない。コロナ第2波を抑え込めれば、第2四半期では回復が見込めると思う。下期もあまり悲観していない」と話す。
アルプスアルパインは「新車販売の復調に合わせて、市販カーナビも復調していくだろう」と予測する。
パナソニックは市販カーナビについて「ターゲットは新車のほか、既販車の6千万台市場。この市場が急激になくなることはない」として、今後の需要動向を見極めながら生産を継続していく考えだ。同社は現時点で「国内、海外のカーナビ生産拠点ともに、生産への影響は出ていない」としている。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞6月20日掲載