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2020年6月19日

輸入車にも電動化の波ジワリ ディーゼル優勢いつまで続く

国内の輸入車市場で、電動車が徐々に存在感を増している。ブランド別販売でトップを走るメルセデス・ベンツ(MB)をはじめ、欧州車特有の48㌾マイルドハイブリッドシステムを搭載した新型車が増えているためだ。

加えて、今年はポルシェ「タイカン」など電気自動車(EV)が本格導入され電動車の普及が加速する見通し。一方、クリーンディーゼルエンジン(DE)車もいまだ販売台数は増加傾向にあるが、母国市場の欧州では規制強化でDE離れが加速しており、こうした流れは今後国内の輸入車市場にも影響を及ぼしそうだ。

国内ではトヨタ自動車やホンダ、日産自動車がモーター出力とバッテリー容量が大きい独自のストロングハイブリッドシステムで先行しており、登録乗用車に占めるハイブリッド車(HV)比率は40%程度と高い水準となっている。

ただ、輸入車ブランドではHVのラインアップが少なく、日本自動車販売協会連合会がまとめた燃料別販売台数によると輸入車に占めるHV比率は17年度まで1%前後にとどまっていた。

HVで出遅れた欧州車だが、近年は低コストで〝標準化〟された48㌾マイルドハイブリッドシステム採用車が一気に拡大したことで、19年度には比率を約5%まで伸ばした。MBをはじめ、BMWやアウディなどもHVラインアップを拡充している。

一方で、輸入車のDE車人気は根強い。登録乗用車市場全体ではDE比率が6%程度なのに対し、輸入車は25%と非常に高い。DE車販売は、ここ5年間で2・4倍にまで拡大している。

力強いトルクや低燃費が支持されているが、輸入車の場合ガソリン車の多くがハイオク指定となるため、燃料が軽油となるDE車の経済性も国内市場特有の人気の理由となっている。

欧州でもかつてはDE車が半数以上を占めたが、欧州自動車工業会がまとめた19年の燃料別販売では30%まで落ち込んでいる。欧州で予定されている企業平均燃費基準(CAFE)の引き上げに加え、英国やフランスでのガソリン車乗り入れ規制をにらみ、欧州メーカーが電動化へ大きく舵を切っているからだ。

国内の輸入車市場にも今後、電動車の導入が相次ぐ見通し。EVではタイカンをはじめ、アウディは「e―トロン」の導入を控える。HVでは、国内では未発表だがフォルクスワーゲンが「ゴルフ」の新型車にマイルドHVを設定しており、国内への導入が期待される。

 

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞6月13日掲載